SESの仕組み・給与の考え方をやさしく解説―商流・還元率・待機の“リアル”をフラットに紹介 ―
SES(システムエンジニアリングサービス)は、IT業界において、よくある働き方の一つといえます。しかし、未経験からITエンジニアを目指す人の中には、「仕組みがわかりにくい」「給与の決まり方が不透明」と感じる人も多いでしょう。
この記事では、商流や還元率、待機中の扱いなど、SESの仕組みの“リアル”をやさしく解説します。仕組みを正しく理解すれば、SESという働き方を自身のキャリアにいかしていくための方法も見えてくるでしょう。
SESの収益構造を理解すると、キャリア選びがしやすくなる

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアが企業のプロジェクトに常駐し、技術提供を行う契約形態のことです。SESでは、エンジニアが客先で働く際の「契約単価」が会社の売上の基礎になります。
そこから営業費・管理費・教育費などのコストを差し引いた残りが給与として支払われます。この「どの程度がエンジニアに還元されるか」を示す指標が還元率です。
企業の役割や提供するサポート内容によって還元率は異なり、そこに優劣があるわけではありません。
ビジネスモデルの違いと捉えることが大切です。

SESの“取り分(マージン)”はなぜ生まれる?

SESの「マージン(取り分)」とは、契約単価からエンジニアに支払われる給与を差し引いた残りの部分を指します。こうしたマージンの存在は、いわゆる「中抜き」と誤解されがちですが、実際には会社の役割に応じた必要経費といえます。営業活動による案件獲得、契約や勤怠の管理、教育・研修、福利厚生の提供など、企業が担うサポートの範囲によってマージンの割合は変わります。
また、SES業界では「一次請け」「二次請け」といった商流構造があり、一次請けは顧客との調整などの上流工程を担うことが多く、二次・三次請けでは実装やテストなどの実務比重が高くなります。
商流が深くなるほどマージンが増える傾向はありますが、その分、エンジニアとして現場で基礎を学びやすいというメリットもあります。そのため、自身のキャリアを考えるうえで重要なのは「どのポジションで何を学ぶか」を理解することといえます。
マージンの大小だけでなく、会社が提供する環境や支援の内容を見極めることで、キャリアの軸を見失わずに自身の希望にあった選択をしやすくなります。

還元率の“目安”より大事なのは透明性

前述したとおり、SESの「還元率」とは、契約単価に対してエンジニアに支払われる給与の割合を指します。一般的には50〜70%前後の企業が多く、これが一つの目安とされています。ただし、還元率は“高ければ良い”という単純な指標ではありません。重要なのは、その内訳や使い道がどれだけ明確に説明されているかです。
企業によって、マージンの使途は大きく異なります。たとえば、教育研修や資格支援に投資している会社もあれば、待機期間中の給与補償や営業活動の充実に力を入れている会社もあります。つまり、還元率がやや低くても、長期的なスキルアップ支援や安定した雇用を提供している場合も少なくないのです。
還元率はあくまで比較の基準の一つであり、優劣を決めるものではありません。大切なのは、会社がどのような方針でエンジニアを支援しているのかを理解することです。自分が重視したい価値(安定・成長・収入)に照らして、納得できる説明と仕組みを持つ企業を選ぶことが、後悔しないキャリア選びにつながります。
待機期間の給与はどう扱われる?

「待機」とは、SESエンジニアが案件と案件の間にある期間のことを指します。この間の給与の扱いは企業によって異なり、いくつかのスタイルがあります。
たとえば、固定給100%を支給して出勤扱いとする会社もあれば、減額して自宅待機・休業扱いにするケースもあります。契約単価に連動する変動給制を採用している企業もあり、待機期間を研修やスキルアップの時間として活用できる制度を設けている場合もあります。
そのため、エンジニアにとっては「どのスタイルが自分に合っているか」を理解して選ぶことが重要になります。無給や減額を一概に“マイナス”と捉えるのではなく、会社がどう支援し、どんな成長機会を用意しているかを確認することが大切です。
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未経験者がまず理解すべき“商流”と役割の違い

「商流」とは、システム開発における企業の“立ち位置”を表す言葉です。たとえば、一つの開発プロジェクトには、顧客と直接契約する一次請け企業から、実装やテストを担当する二次・三次・四次請けの企業まで、複数のレイヤーが存在します。
ただし、これは上下関係や優劣を示すものではありません。それぞれの層に明確な“役割”があり、すべてが組み合わさることでプロジェクトは成り立っています。未経験者にとって大切なのは、どの層に入るかよりも、「その環境でどんな経験を積めるか」を理解することです。

以下で商流の段階ごとの役割や詳細な業務に内容について解説していきます。
| 一次 | 要件・設計の“頭脳” |
|---|---|
| 二次 | 開発・実装の“エンジン” |
| 三次 | テスト・検証の“品質” |
| 四次 | 運用・保守の“安定” |
■ 一次請け(元請け)
役割:顧客と直接やり取りし、要件定義・設計などの上流工程を担う層
一次請け企業は、クライアントの要望をヒアリングし、システムの全体像を設計する役割を持ちます。業務内容は、要件定義、画面構成やデータ設計、プロジェクト進行管理、UI/UX方針の決定など多岐にわたります。
例:HP制作の場合
「新しいサイトを作りたい」という顧客から目的を聞き出し、必要なページ構成(TOP/会社概要/事業内容など)を整理。デザイン方針や機能要件(問い合わせフォーム、予約機能など)をまとめ、CMSやサーバー構成を決定します。
この層は顧客折衝や判断力が求められるため、未経験者にはややハードルが高めといえます。
■ 二次請け(一次請けから依頼を受ける層)
役割:設計をもとに、実際の開発・制作を担う層
二次請けは、一次請けが設計した仕様書をもとに、システムを実際に形にしていく工程を担当します。
主な業務内容
・ 画面コーディング(HTML/CSS/JavaScript)
・ バックエンド開発(Python/Ruby/PHPなど)
・ API連携やデータベース設計
・ 単体テストや軽微な修正対応
例:HP制作の場合
一次請けが作ったワイヤーフレームをもとにコーディングを行い、フォーム動作の実装やデザイン調整などを行います。
実装力を磨く環境が整っており、「未経験から少し経験を積んだ人」が最も成長しやすいフェーズと考えられます。
■ 三次請け(実装・テスト中心の層)
役割:部分的な開発作業やテスト、動作検証を担う層
三次請けでは、システムの一部分を担当し、主に実装補助やテストを行います。仕様書に沿って画面や機能の動作を確認し、不具合を洗い出すほか、簡単なコード修正やデータ確認も担当します。開発現場の流れを体験しながら基礎を身につける段階です。
主な業務内容
・ テストケースの作成と実施
・ 画面チェックや動作検証
・ ログ確認・軽微な不具合調査
・ SQLを使ったデータ抽出・動作確認
・ 小規模な機能追加や修正
例:HP制作の場合
HPを制作するプロジェクトであればリンク切れの確認やフォームの動作チェック、画像や文章の差し替えなどを担当します。未経験〜微経験者にとって、現場で開発プロセス全体を“体感として学ぶことができる”ステップといえます。
■ 四次請け(保守・運用、テスト中心の層)
役割:システム運用や監視、問い合わせ対応などのサポート業務
四次請けは、完成後のシステムを安定稼働させる運用・保守が中心になります。監視やアラート対応、データ更新、問い合わせ対応などを行い、トラブルを未然に防ぎます。開発経験が浅い人でも取り組みやすく、IT業務の基礎理解を深められる段階といえます。
主な業務内容
・ システム監視(アラート対応、エラー報告)
・ マニュアルに沿った動作確認
・ 問い合わせ対応(操作説明・不具合報告)
・ データ入力や更新作業
・ 定期バッチの監視・バックアップ取得
例:HP制作の場合
月次更新作業やニュース投稿、フォーム動作確認、アクセス解析レポート作成などを行います。 業務の難易度は比較的低く、IT現場の流れを理解する導入段階として適しています。
成長のステップを意識して選ぶ
SESの商流は、単に“上か下か”ではなく、“どのフェーズで何を学ぶか”を示すものと考えた方がよいでしょう。一次請けは顧客対応や上流設計を学べる環境、二次・三次請けは実務経験とスキルの基礎を固める場、四次請けは業務フローや運用知識を身につける場といえます。
未経験者にとって大切なのは、「最初の商流の高さ」ではなく、「その会社でどう成長できるか」という視点です。入社後にどんな案件へステップアップできるのか、教育・評価の仕組みが明確かどうかを確認することで、自分のキャリアを長期的に描きやすくなります。
結論:未経験は“どこから始めるか”より“どう育つか”
エンジニアとしてのスタート地点が二次請けや三次請けであっても、まったく問題はありません。商流が深い環境ほど、実装やテストを通じて基礎を身につけやすく、成長の土台づくりに向いています。
重要なのは「どこから始めるか」ではなく、「どう成長できる環境があるか」です。具体的には、成長ルートが明確に示されているか、評価基準がわかりやすいか、教育サポートが整っているかを見極めること。
安心してステップアップできる環境を選ぶことが、エンジニアとしての未来を大きく左右します。


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