IT業界は本当にやめとけ?未経験でも安心して挑戦できる現実と対策

「『IT業界 やめとけ』という声をよく耳にしますが、実際に未経験からIT業界に転職するにはどのような準備が必要でしょうか?
「IT業界やめとけ」「未経験には向いてない」──SNS上などで、そうした声を見掛けて、未経験からIT業界へ挑戦することに対して不安を感じている人もいるでしょう。
たしかに、IT業界は会社ごとの職場環境の差も大きく、人によって向き不向きがあります。しかし正しい知識と事前の準備があれば、未経験からでも安心してキャリアを築くことができます。
この記事では、IT業界のリアルな現状と未経験から挑戦することに対する不安を解消するための対策をわかりやすく解説します。
気になる?「IT業界やめとけ」の声

「IT業界はやめとけ」「ブラック企業ばかり」といった声を、SNSや転職サイトの口コミなどで頻繁に目にすることがあります。こうした過酷な労働環境や長時間残業を経験した人の体験談は、未経験者にとって不安材料となりがちです。
しかし、そうした発信の中には、特定の企業や環境における偏った体験を業界全体に当てはめたものも少なくありません。実際のIT業界はどうなのか。本当に「やめとけ」と言われるようなものなのか、客観的に検証する必要があります。
IT業界は「やめとけ」と言われる5つの理由を解説

IT業界に対して「やめとけ」と否定的な意見が出る背景には、業界に共通した課題があります。
ここでは、特に「やめとけ」といった声につながりやすい5つの理由について詳しく解説していきます。
理由① 長時間労働が多い企業が存在する
IT業界、とくに開発や運用の現場では、納期直前の追い込みやシステム障害などによる緊急対応が避けられないケースがあります。そのため、深夜までの残業や休日出勤を余儀なくされることも少なくありません。
また、プロジェクトの進行状況に左右されるため、労働時間が不規則になりやすいという側面もあります。こうした過酷な働き方が続くと、心身の健康を崩すリスクもあるため、「やめとけ」という声の一因になりやすいと考えられます。
理由② 下請け構造が強く、待遇格差がある
IT業界には多重下請け構造が根強く残っており、特にシステム開発や運用を行う企業では、元請け企業から順に業務が下に流れていくことも多くなっています。この構造の中で、一次請けの企業と末端のSES(システムエンジニアリングサービス)企業とでは、担当する業務内容や責任範囲、給与待遇に大きな差が生まれます。
下流のポジションほど裁量が小さく、単調な作業を繰り返すことになりがちで、「成長できない」「やりがいを感じない」と感じる人も少なくありません。
理由③ スキルアップを怠ると淘汰される
IT業界は技術の進歩が非常に早く、昨日まで使っていた技術が数年で時代遅れになることも珍しくありません。そのため、現場で通用するエンジニアであり続けるためには、常に新しい技術やツールを自発的に学び続ける必要があります。
こうした勉強を怠ると、人材としての市場価値が下がり、転職やキャリアアップが難しくなるリスクもあります。このように自己研鑽が求められる業界であることを知らずに入ると、後からギャップに苦しむケースがあることも「やめとけ」という声の一因になっていると考えられます。
理由④ 成果が見えにくく評価されづらいことがある
ITエンジニアの仕事は、コードを書くことだけでなく、設計や保守、ドキュメント作成など幅広い業務が含まれます。しかし、こうした業務の成果は数字や目に見える形で表れにくく、評価があいまいになりがちです。
中には、上司の主観や社内の政治的な立場によって評価が左右される「属人的評価」が行われる企業も存在するため、不公平感を抱く社員も多いと考えられます。
理由⑤ ブラック企業かどうかの見極めが難しい
特に未経験者が入りやすいSES企業や受託開発系の会社では、実際に働く職場の環境が入社前には見えにくいという問題があります。自社ではなく顧客先で勤務することも多く、案件によって職場の雰囲気や働き方が大きく異なります。
そのため、面接や求人情報から企業の本質を見抜くのが難しく、入社後に「こんなはずじゃなかった」と後悔するケースもあります。
多くの人が『IT業界 やめとけ』と感じる理由には、特に過酷な労働環境や不安定なキャリアパスが挙げられますが、実際には適切な企業選びと準備をすれば、問題なくキャリアを築けます。
なお、企業と求職者の適切なマッチングが重要と考える転職エージェントの中には、IT業界の現場の雰囲気をよりリアルに伝えようと試みている企業もあります。例えば、ユニタスではSES潜入企画のような、第3者の立場として企業の魅力を伝えていく取り組みを計画しています。
IT業界 「やめとけ」と言われる理由への”真相”は?

これまで、「IT業界はやめとけ」と言われる主な理由を解説してきました。しかし、それらの声のすべてが業界全体を正しく反映しているとは限りません。
一部のネガティブな体験談が大きく拡散されている部分もあり、誤解や先入観が生まれやすくなっている部分もあります。ここでは、前述した「やめとけ」と言われる5つの主な理由に対する反論や実情を見ていきましょう。
理由① 長時間労働が多い企業が存在する
→真相:働き方改革が進み、柔軟な勤務制度を導入する企業が増加中
たしかに、IT業界には納期前の残業やトラブル時の深夜対応といったハードな側面もあります。しかし近年は、政府主導の働き方改革やITツールの発展により、労働環境は大きく改善傾向にあります。
リモートワークやフレックス制度を導入する企業が増え、「効率よく働く」ことが文化として定着しつつある企業も多いのが現状です。特に自社開発系や外資系のIT企業では、残業が少なく、ワークライフバランスを重視する風土が強まっています。
理由② 下請け構造が強く、待遇格差がある
→真相:キャリア戦略と企業選びで十分に回避できる
SESや多重下請け構造による待遇差は業界の課題の一つですが、すべてのIT企業がその構造の中にあるわけではありません。たとえば、自社でサービスを企画・開発・運用する企業では、裁量のある仕事が多く、待遇やキャリアパスもしっかり整備されています。
こうした企業では未経験からのスタートであっても、スキルを磨き続けることで、上流工程やプロダクトマネジメントなどへのキャリアアップも可能です。業界構造を理解した上で、自分がどのポジションを目指すのか明確にすることが、成功への第一歩になります。
理由③ スキルアップを怠ると淘汰される
→真相:変化が激しい業界だからこそ、成長のチャンスも多い
技術革新のスピードが速いIT業界では、継続的な学習が必要不可欠といえます。こうした状況を言い換えれば、常に新しいチャンスが生まれているということでもあります。
現在は、実務経験がなくても、オンライン教材やスクール、無料の開発環境など、スキルを身につける手段が豊富にある時代です。
変化が多いからこそ自分の強みとなるスキルも見つけやすく、努力した分だけ成果が出やすい構造のため、「成長したい」という意思のある人には非常に向いている業界だと言えます。
理由④ 成果が見えにくく評価されづらいことも
→真相:評価制度は企業ごとに異なる。事前の確認がカギ
ITエンジニアの業務は、表に見えにくい仕事も多いため、成果の評価が曖昧になることもあります。しかし、評価制度が整っている企業では、成果を定量的に測る指標やフィードバック体制がきちんと構築されています。
たとえば、1on1などの定期面談やKPIによる評価制度などを導入している企業も少なくありません。応募時や面接時に「どのように評価されるか」「昇給の仕組みはどうなっているか」といった点をしっかり確認することで、入社後のギャップを防ぐことができます。
理由⑤ ブラック企業どうかの見極めが難しい
→真相:事前リサーチと情報収集で回避可能
特にSES企業や受託系企業では、働く現場が顧客先になることもあり、外からは実際の労働環境が見えにくい傾向があります。しかし、「見えにくい=見えない」ではありません。
転職サイトの口コミ、SNSなどで、実際にその企業で働いた人の声をチェックすることができます。また、企業説明会や面接時に、現場で働く社員との交流機会が設けられている企業もあり、現場のリアルな情報を直接得ることで、ブラック企業を避けることが出来る可能性は格段に上がるでしょう。
このように「IT業界はやめとけ」という意見には一理あるように見える部分もありますが、適切な情報収集と企業選びによって回避できる課題が多く含まれているのが実情です。
IT業界はまだまだ成長する人気の業界

IT業界には、過酷な労働環境や下請け構造などのネガティブな側面も存在しますが、それ以上にポジティブな要素が多く、将来性のある成長産業だといえます。特に、AIやクラウド、DX(デジタルトランスフォーメーション)などの分野は今後ますます需要が高まり、エンジニアやIT人材の必要性は年々拡大しています。
また、IT業界で培ったスキルは一度身につければ他の会社や業界でも活かすことができる「資産」となり、転職や独立といった多様なキャリアにもつながります。さらに、リモートワークやフレックスタイムといった柔軟な働き方を取り入れる企業も増えており、ライフスタイルに合わせた働き方が実現しやすいのも魅力といえます。
年齢や学歴よりも「今できること」や「どれだけ学んでいるか」といった実力重視の風土もあるため、未経験からでも挑戦しやすい業界と言えるでしょう。選ぶ会社次第で、自分らしく、将来につながるキャリアを築けるのがIT業界の強みであり、魅力といえます。
まずは自己診断で自分がIT業界にむいているかセルフチェック

「やめとけ」といわれる背景や実情を理解して、IT業界への関心が高まったものの「自分に向いているのか分からない」と不安を感じている人もいるでしょう。
そこで、以下のセルフチェックリストを使って、自分の適性を確認してみましょう。あてはまる項目が5つ以上あれば、「IT業界への適性あり」といえます。
【IT業界適性セルフチェックリスト】
☐ パソコンやスマホ、ITツールを使うのが好き・得意
☐ わからないことを自分で調べて解決するのが苦にならない
☐ コツコツと作業に取り組むのが得意なほうだ
☐ 論理的に物事を考えるのが好き・得意
☐ 新しい技術やトレンドに興味を持ちやすい
☐ 人とのコミュニケーションもそれほど苦にならない
☐ 「なぜこうなるのか?」と考えるクセがある
☐ 将来は手に職をつけて働きたいと考えている
☐ 一人で集中して取り組むのが得意
☐ 自分の成長を実感できる仕事がしたい
IT業界に向いている人の特徴は、好奇心があり、自ら学ぶ姿勢を持っている人です。また、論理的思考力や集中力が高く、問題解決を楽しめるタイプが多く活躍しています。
一方で、IT業界にあまり向いていない人の特徴としては、変化を嫌い、学び直しに抵抗がある人や、地道な作業を苦痛に感じる人が挙げられます。
ただし「向いていない=無理」ではありません。考え方や行動次第で誰でも適応できる可能性があります。もちろん、現時点でスキルがなくても心配ありません。「学びながら成長したい」という意欲があれば十分に挑戦可能といえます。
「やめとけ」と言われるブラック企業は会社選びで回避

ここまで解説してきたように、「IT業界はやめとけ」と言われる背景には、一部のブラック企業の存在がありますが、それは会社選び次第で十分に回避可能です。
IT企業と一口にいっても、職種や業種、社風は多種多様です。転職時には、「評価制度が明確か」「教育体制が整っているか」「リモートやフレックスなど柔軟な働き方が可能か」といったポイントをしっかり確認しましょう。
事前の情報収集と見極めが、快適なITキャリアの第一歩となります。以下では具体的な情報収集の方法を解説します。
ホームページだけではなく社員ブログや採用ページをチェック
応募を検討している企業の公式ホームページだけではなく、社員インタビューや採用ブログ、技術ブログなども確認することで、実際の働き方や職場の雰囲気がより具体的に知ることが出来ます。
現場のリアルな声や取り組みを知ることで、自分に合う企業かどうかの判断材料にすることができるでしょう。
口コミサイトや現場エンジニアの評判をチェックする
転職会議やOpenWorkなどの口コミサイトでは、実際にその企業で働いた人の声が多数投稿されています。特に「残業時間」「人間関係」「キャリア支援」などの項目をチェックすることで、表向きの情報だけでは見えない実態を把握できます。
SNSで現役エンジニアの声を探し、参考にするのも有効です。
面接時に気になる点をしっかり聞く
採用面接は、応募者側にとっても企業を見極める場といえます。「評価制度はどうなっていますか?」「どのような教育体制がありますか?」「リモート勤務の実績はありますか?」など、具体的な質問をすることでブラック企業を見抜くヒントになります。
的確な質問をすることができれば、自身の熱意を採用担当者に伝えることもできるでしょう。
IT業界への転職ならユニタス
SNSなどでネガティブな意見を目にすることもありますが、IT業界は決して「やめとけ」と言われるような業界ではなく、将来性が高くキャリアアップのチャンスも豊富な業界といえます。
大切なのは、自分に合った企業を見極めることですが、業界未経験者がブラック企業を避け、理想の働き方を実現するには、少しハードルが高いかもしれません。しかし、そうした場合には、信頼できる転職エージェントを活用するという選択肢があります。
エンジニア専門の転職支援に強い「ユニタス」は、未経験者の不安に寄り添いながら最適な企業選びをサポートします。未経験からIT業界への挑戦を志す方はぜひご活用ください。