「SESはやめとけ」の真相。ヤバいSESブラック企業の特徴と見分け方

未経験からエンジニアを目指し、転職活動を行う過程で「SESはやめとけ」といった声を耳にすることがあるかもしれません。エンジニアとしてキャリアを積み上げていく上で、SES企業への転職は選択肢の一つではあるものの避けた方が良いという意見もあります。 しかし、一口に「SES企業」といっても実態はさまざまで、その中には働きやすい企業もあります。また、SES企業では数多くの案件に携わることができ、幅広い技術を学ぶことができるため、経験の浅いエンジニアにとっては望ましい環境であるとも言われています。 この記事では、SES企業が「やめとけ」「ブラック」などと言われがちな理由や、労働環境が悪い企業の見分け方を解説します。また、良いSES企業を見つけるためのポイントについても紹介していきます。 そもそもSES企業とは? SESはシステムエンジニアリングサービス(System Engineering Servise)を意味します。 一般的なシステム開発では、クライアントから依頼を受けたシステムを開発・納品することになります。これに対して、SESはクライアントのシステム開発の支援や、運用保守を行うことで報酬を得るというビジネスモデルになっています。 そのため、クライアントのオフィスに常駐し、開発業務に従事する場合もあります。 なぜ一部のSES企業がブラックとされるのか? SES企業が労働条件の悪い、いわゆる「ブラック」であると言われやすい背景には、いくつかの理由があります。 実際に、一部のSES企業では低賃金での長時間労働が常態化しており、転職した場合に希望のプロジェクトに配属されづらいという実態があります。また、マネジメント体制が整っていないことも多く、未経験からエンジニアへと転職した場合では特に孤立感を感じやすいという問題もあります。短期的な利益を追求するあまり、社員の健康やキャリアの優先順位が低くなっているケースもあるとされています。 しかし、すべてのSES企業がこうしたブラックな状態なわけではありません。残念ながら一部の企業が悪目立ちした結果、業界全体のイメージが悪くなっているという部分もあります。 以下では、いわゆる「ブラック」なSES企業の特徴を10項目挙げて解説していきます。ブラックなSES企業の特徴を知ることで、転職先選びの参考になるでしょう。 ブラックSES企業の特徴10項目 【特徴1】長時間労働とサービス残業  エンジニア職種に限らず、近年「ブラック」と言われる企業のもっとも大きな特徴の一つに長時間労働やサービス残業が常態化している、という点が挙げられます。 長時間労働の背景には、人手不足があると考えられます。労働環境が悪ければ新たな人材の採用も困難であるため、人手不足を解消することも難しくなります。そのため、サービス残業が常態化しているかどうかは企業ごとに差がありますが、ブラック企業ではこうしたケースが多く、ブラック企業では人材不足が常態化し、さらなる長時間労働を招くという負の循環が生まれやすくなっています。 【特徴2】研修期間がない 社内体制や教育環境が整っている企業では、未経験からの転職者に対して一定期間の研修や事前レクチャーを行うことが一般的です。しかし、一部のSES企業はこうした余裕がないため、十分な説明やキャッチアップのための期間を設けずに即戦力として現場に派遣されることも多いとされています。 なかには、「研修」という名目でITとは無関係の常駐先に派遣されるケースもあります。 【特徴3】市場相場に比べて低賃金 ブラックSES企業での勤務は低賃金であることが多く、昇給の機会も少ないとされています。この背景には、システム開発における多重下請けの構造があります。 大規模なシステムでは、発注者から1次請け、2次請け…といったように複数の業者が連携して開発を行う場合があります。こうした場合、下流工程に行くほど、支払われる金額も減っていきます。そして、多重下請け構造の中で下流工程に位置する企業では、大規模案件の2次請けや3次請けとして開発にかかわることも多いため、結果的に低賃金になりやすいとされています。 また、クライアント先で業務に携わることも多いため、マネジメント層の目が届きにくく、評価基準も不明確なため昇給しづらい環境にあることが多くなっています。 【特徴4】身に着けたいスキルや経験に合わない業務を強いられる SES企業が受注する案件は、クライアントや派遣先の企業の意向が強く反映されるため、自身が希望するスキルやキャリアに関連する業務に従事できる可能性も低くなります。 また、派遣先が想定している業務内容と自身のスキルのミスマッチが起きることもあり、スキルや経験に合わない業務を強いられる可能性があります。 【特徴5】マネジメント体制が不十分 SES企業ではマネジメント体制の不備から、クライアント先に1人で常駐する事態が発生することもあります。こうした場合、クライアントと所属企業のどちらの指示を優先させるべきか不明瞭な状態となり、結果的に両社の板挟みになってしまうことも考えられます。 また、たった1人でクライアント企業で働くことになった場合、気軽に質問などをすることも難しく、ストレスがたまりやすい状況に陥ることも予想されます。 【特徴6】 離職率が高い 多くの人は、職場環境や待遇が良い企業で長く働きたいと考えるでしょう。逆に待遇が悪ければ、出来るだけ早く転職しようと考えるのが自然です。そのため、どのような業種・職種においてもブラック企業は離職率が高くなります。 前述したように、ブラックな環境にあるSES企業では、長時間労働、サービス残業が常態化しており、結果的に離職率も高くなりがちです。  【特徴7】クライアント先の扱いが悪い SES企業に勤務すると、クライアント企業に常駐することが多いため、常駐先の企業風土や案件の内容が、自身の働きやすさに大きく影響します。 「案件ガチャ」などと言われることもあり、必ずしも働きやすい企業の案件にアサインされるとはかぎりません。自身が所属しているSES企業が、十分に案件の精査を行っていなければ、自分にとってマイナス要素の多い環境で働く可能性も高くなってしまいます。 【特徴8】仕事が少ない SES企業は、クライアントから案件を受注する立場であるため、経営が不安定な場合にはそもそも受注が少なく、業務が少ないという場合もあります。 また、案件によってはルーティン作業のような業務ばかりを押し付けられるということもあります。こうした状況が続けば、スキルアップは難しいでしょう。 【特徴9】ハラスメントを受ける場合がある ブラック企業では、コンプライアンス意識も希薄になりやすいため、パワハラ、セクハラなどの問題も起こりやすくなります。 また、SES企業においては、常駐先のクライアントから直接ハラスメントを受けるリスクがあります。タイトな納期を強要されたり、逆にまったく業務を割り当ててもらえないといった事態が発生する場合もあります。 【特徴10】有給休暇が取得できない 前述したようにSES企業に勤務していると、クライアントの状況に自身の業務内容や勤務形態が大きく左右されることになります。 そのため、クライアントのプロジェクトの進捗が厳しいようであれば有給休暇などの取得が難しくなることもあります。自身で業務量や進捗をコントロールすることが困難であることを理解しておいた方がよいでしょう。  もしブラックSES企業に入ってしまったら? もし、ブラックSES企業に入社してしまった場合、今後エンジニアとしてのキャリア形成が困難になってしまうため、早めに対応する必要があります。 前述したような特徴に加えて、「社員が20代ばかり」「未経験者ばかり採用している」といった特徴がある企業に入社してしまった場合には、改めてキャリアについて熟考すべきでしょう。 また、ブラックSES企業に勤務する過程でサービス残業や何らかのハラスメント被害にあった場合には、しかるべき機関への相談を検討するとよいでしょう。 例えば、長時間労働やサービス残業の問題については労働基準監督署に相談することができます。また、ハラスメントについては、労働局や労働組合に相談するという選択肢があります。 ブラック企業は、「能力が不足しているので既定の給料は払えない」などといった違法な論理を振りかざしてくることも多いとされているため、専門機関に相談し、正しい法知識に基づいた対応を行うことをおすすめします。 良いSES企業の特徴 良いSES企業には、これまで解説してきたブラック企業とは逆の特徴があります。 … Continue reading 「SESはやめとけ」の真相。ヤバいSESブラック企業の特徴と見分け方