【Unitas(ユニタス) 転職アドバイザー菅原さんが解説】仕事やめたい理由「職種が合わない」はなぜ起こるのか
「仕事がつらい」「自分にはこの職種、合ってないかも…」——。日々の仕事の中で、そんな風に感じている人もいるかもしれません。特に未経験からエンジニアになった人や第二新卒の方にとって、「職種が合わない」は自身のキャリアに大きく影響する重要な問題といえます。
この記事では、ここでは、Unitas(ユニタス) 転職アドバイザー菅原さんのアドバイスを交えながら、ブランクを強みに変える方法を解説します。自分に合った働き方を見つけたい方は、ぜひ参考にしてください。
入社してから気づく「職種が合わない」はなぜ起きる?

未経験からエンジニアとしてキャリアをスタートした人の中には、「思っていた仕事と違う」「やりたいことができない」と感じている人もいるでしょう。転職後のギャップは、単なる“我慢”では解決できない問題であり、将来のキャリアにも大きく影響します。
ここでは、転職後に「職種が合わない」と感じる人が増えてしまう4つの要因を解説していきます。
【要因①】IT業界構造の複雑さ
他の業界と比較してもIT業界は非常に構造が複雑です。ひと口に「IT企業」といっても、SES(客先常駐)・受託開発・自社開発・Web系サービス企業では、仕事内容も求められるスキルもまったく異なります。
たとえばSES企業では、顧客企業の現場に常駐して作業を行うため、案件内容や環境は派遣先次第です。入社前は「開発をやりたい」と思っていても、実際に配属されたのはテスターや運用保守の作業中心というケースも少なくありません。
一方、受託開発や自社開発ではチーム単位での開発が主流ですが、納期や社内体制によっては設計よりもドキュメント作成や管理業務が中心になることもありえます。
こうした「業態による働き方の違い」を理解せずに入社すると、理想と現実の差に直面し、「この職種、自分には向いてないかも…」という感情が生まれてしまう要因になります。
【要因②】スキルとアサインのギャップ
「職種が合わない」と感じる代表的な要因の一つが、スキルとアサイン(配属)のギャップです。特に未経験者の場合、「まずは簡単な案件から」という理由で希望と異なるプロジェクトに配属されることがあります。
また、会社の営業状況や人員配置によっては、個人の希望よりも会社の都合が優先されることも珍しくありません。いわゆる「案件ガチャ」と呼ばれる現象です。
たとえば求人票に「開発案件あり」と書かれていても、それが“常に”開発に関われることを意味するわけではありません。実際には、開発経験を積むまでにテスト・運用・保守を数年経験するというパターンも多く、「やりたい仕事」に到達するまでの時間差が生じます。
この「想定と現実のギャップ」が積み重なることで、モチベーションが低下し、「この職種は自分に合わない」と感じやすくなるのです。
【要因③】キャリア設計不足
キャリア設計の不足も「職種が合わない」と感じる要因になります。「手に職をつけたい」「将来が安定しそう」といった理由で“とりあえずエンジニア”を目指す人もいますが、エンジニアという職種の中にも多様な方向性があります。
フロントエンド、バックエンド、インフラ、データ、AIなど、分野によって必要なスキルも、向いている人のタイプも異なります。自分がどの分野を目指したいのか、という希望や方向性を整理せずに入社すると、「想像していた仕事と違った」と感じやすくなります。
また、エンジニアとして成長するには、段階的なステップを踏むことが大切です。最初から理想のポジションに就くことは難しく、学習・経験・実績の積み上げが欠かせません。その道筋を理解していないと、「今の仕事に意味があるのか分からない」という迷い、キャリアへの不満・不安が生まれてしまいます。
【要因④】企業文化のミスマッチ
最後に見落とされがちなのが、企業文化や組織風土のミスマッチです。スタートアップのスピード感や裁量の大きさに魅力を感じて入社したものの、「業務が属人的すぎてついていけない」と感じる人もいれば、大企業での安定環境を選んだものの、「意思決定が遅く、チャレンジできない」と悩む人もいます。
同じ“エンジニア”という肩書きでも、求められる姿勢や価値観は企業によって大きく異なります。つまり、「職種が合わない」と感じているその悩みは、実は仕事内容ではなく、企業文化との相性が原因というケースも多いのです。
上記のような要因によって、入社してから「思っていたのと違う」と感じてしまうのは、決して珍しいことではありません。しかし、その背景を正しく理解し、事前に業界構造やキャリアステップを把握しておけば、こうしたミスマッチは大きく減らすことができるでしょう。
「職種が合わない」時のエンジニアにとっての弊害

エンジニアとして働く中で「この職種、自分に合っていないかも」と感じ始めたとき、そのまま放置するとさまざまな弊害が生まれます。
モチベーションの低下
「やりたいことと違う」「自分の強みを活かせない」と感じる環境では、日々の業務に意欲を持ちづらくなります。特に、希望していた開発に携われず、テストや保守作業ばかりが続くような場合、仕事への充実感が失われやすいでしょう。
その結果、学習意欲も低下し、スキルアップへの投資を避けるようになります。このように本来なら成長につながるチャンスを逃してしまうのです。
スキルの伸び悩み
適性や志向に合わない業務を続けると、キャリアの方向性に沿ったスキルが積み上がりません。たとえば「Webアプリ開発を目指していたのに、運用保守ばかり担当している」といった状態では、実務経験が増えても本来磨きたい技術が身につかないままです。
結果として、転職やキャリアチェンジの際に「求められる経験が足りない」と判断され、不利になる可能性があります。
心身へのストレス
苦手な業務を続けることは、想像以上にストレスが大きいものです。得意でない作業に長時間取り組むことで、疲労感や焦燥感が蓄積し、メンタル面の不調を引き起こすリスクもあります。
特に責任が重い現場や納期の厳しいプロジェクトでは、心身への負担がさらに大きくなり、最悪の場合は離職や休職につながるケースも見られます。
キャリアの迷走
「合わない職種で数年働いたが、やりたい分野の経験が積めなかった」という状態になってしまうと、想定していたキャリアを実現しづらくなります。方向性が定まらないまま時間が経つと、希望する職種への転職が難しくなり、キャリアの再設計に多くの時間と労力が必要になります。
早い段階で「自分に合う職種・環境」を見極め、軌道修正することが、長期的なキャリア安定の鍵となります。
「職種が合わない」時の会社にとっての弊害

「職種が合わない」と感じながら働く社員が増えると、影響を受けるのは本人だけではありません。組織全体にも目に見えない損失が積み重なっていきます。
生産性の低下
最も大きな問題の一つが、生産性の低下です。人は自分の得意分野や興味のある業務にこそ力を発揮できるもの。しかし、向いていない職種や業務を任されると、作業効率が落ち、成果物の品質にも影響が出ます。
特にエンジニアの場合、ロジックの理解力や集中力が求められるため、モチベーションの低下は直接的にパフォーマンスの低下につながります。結果として、納期遅延や手戻りの発生など、チーム全体の生産性が下がってしまうリスクがあります。
離職率の上昇
企業とってミスマッチの増加は離職率の上昇につながります。
「思っていた仕事と違う」「自分のスキルを活かせない」と感じた社員は、早期退職を選びがちです。特に未経験や若手エンジニアの場合、キャリア初期での転職が相次ぐと、企業は採用・教育に投じたコストを回収できません。
さらに、定着率の低さが自社の評判に影響し、今後の採用活動にも悪影響を及ぼす可能性があります。結果的に、人材が安定せず、慢性的な採用コストの増加という負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあります。
チームワークの不調
「職種が合わない」社員が増加することで、チームワークに悪影響を及ぼします。
「自分の仕事が合っていない」と感じている社員は、どうしても前向きな姿勢を保ちづらくなります。不満や焦りが蓄積すると、周囲とのコミュニケーションも消極的になり、チーム全体の雰囲気が悪化するリスクも高まります。
やがて他のメンバーにもモチベーション低下が波及し、連携ミスや情報共有の遅れなど、組織全体の士気を下げてしまいます。
キャリアアドバイザー菅原さんが指摘!入社してから後悔しない転職活動の秘訣

「求人票に書かれていた仕事内容と実際が違った」──これは、転職後に後悔した人の多くが口にする言葉です。
特にIT業界では、企業ごとに案件内容や働き方が大きく異なるため、情報をうのみにして判断すると“職種ミスマッチ”が起こりやすくなります。ここでは、キャリアアドバイザーの立場から見た「入社してから後悔しないための転職活動の秘訣」を紹介します。
◎求人票の内容を鵜呑みにしない
まず意識すべきは、求人票は“企業側が伝えたい情報”であるという前提です。たとえば「自社開発あり」「上流工程に携われる」といった魅力的なフレーズが並んでいても、実際にはSES案件が中心だったり、開発よりもドキュメント作成や運用保守がメインというケースも珍しくありません。
求人票はあくまで“入口の情報”に過ぎません。面接の場で、求人票の内容を具体的に掘り下げて質問することが大切です。たとえば、「“自社開発あり”とありますが、実際の社員の稼働割合はどのくらいですか?」「上流工程に携われるのは、入社何年目くらいからですか?」など、リアルな運用面を確認しましょう。
また、「求人票 × 口コミ × エージェント」の三方向から情報を比較することも効果的です。 求人票では企業のポジティブな側面を、口コミではネガティブな側面を、そしてエージェントでは現場を知るプロ視点の“リアル”な情報を得ることを意識しましょう。
たとえば「オープンワーク」などの口コミサイトを活用しながら、複数の情報を横並びで判断すると、より現実的な判断ができるでしょう。

◎過去に退職した人の口コミを確認する
職種ミスマッチが多い企業には、離職理由に共通点があります。たとえば「開発職を募集していたのに運用保守に回された」「スキルアップ支援が形だけだった」といった口コミが複数見られる会社は、構造的にミスマッチが起きやすい環境である可能性が高いといえます。
こうした情報は、口コミサイトだけでなく、転職エージェントを通じて収集するとよいでしょう。エージェントは、実際にその企業へ入社・退職した人のリアルな事例を把握していることが多く、求人票や公式サイトでは分からない“実情”を教えてくれます。

◎面接で気になることは必ず聞いておく
多くのミスマッチは、「聞かなかったこと」が原因になっています。 たとえば、面接の場で「配属先はどのように決まりますか?」「新人はどんな案件に入ることが多いですか?」といった質問を事前にしておけば、入社後のギャップを減らすことが出来る可能性が高まります。

◎『職種が合わない』をふせぐためには学習が不可欠なことを意識
「思っていた職種と違った」と後悔しないためには、求職者自身のスキルアップが欠かせません。エンジニアの世界では、勉強量や制作物、ポートフォリオの有無が採用・配属を左右します。スキルが高ければ、携われる案件の幅が広がり、自分の希望に近い職種を選びやすくなります。
一方で、学習が不十分だと、企業側の都合で「まずはテストや保守から」といった配属になるケースも少なくありません。
また、転職では「今の条件」だけでなく将来性を見極める視点も重要です。「年収アップ」「リモート可」といった魅力的な条件だけで判断すると、スキルが伸びず1年後に後悔するケースも多いのが現実。短期的な条件より、「この環境でどんな力を磨けるか」「将来どう成長できるか」を重視することが、職種ミスマッチを防ぐ最良の方法です。


ミスマッチを防ぎ、自分に合ったキャリアを描こう
「職種が合わない」と感じることは、誰にでも起こり得ます。大切なのは、転職前のリサーチと、自分のキャリアプランをしっかり描き、継続的にスキルアップの努力をすることです。
特に未経験者ほど、“今”より“将来”を重視する姿勢が重要です。自分が何を求めているのかを言語化し、「なぜその会社で働きたいのか」という軸を持つことで、入社後のミスマッチの可能性を大きく減らすことができるでしょう。もし今の職場に違和感を感じているなら、それも次のキャリアを考えるきっかけになります。
Unitas(ユニタス)では、SES・自社開発・受託開発・Web系など多様なキャリアパスを理解したアドバイザーが、あなたの希望や適性に合った道を一緒に考えてくれます。
「今の職種・職場が合わない」と感じている人は、まずは相談してみてください。
📩キャリアの悩み、Unitas公式LINEで気軽に相談できます!
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Unitas (ユニタス)転職アドバイザー 菅原 康平(すがわら こうへい)
宮城県出身。大学卒業後、通信業界で営業としてキャリアをスタートし、4年間勤務。
その後、Recruit(リクルート)に転職し、Hotpepperグルメ領域で法人向け営業を担当。
顧客の課題に向き合い、ソリューション提案を重ねる中で「企業と人をつなぐ仕事」に可能性を感じ、Unitasに参画。
現在は転職アドバイザーとして、ブランクを抱える方や未経験からの挑戦者を中心に、転職の伴走支援を行っている。


