未経験からIT企業へ転職!エンジニアの職種・年収・キャリアパスを徹底解説

未経験からエンジニア転職を目指す場合、IT業界は有力な転職先の一つです。しかし一口に「IT業界」といっても求められる業種は幅広く、「具体的にどんな仕事があるのか分からない」と感じる人も多いでしょう。
この記事ではシステム開発、運用、サポートなどIT業界の仕事内容を詳しく解説し、職種ごとの特徴や年収の目安についても紹介していきます。この記事でIT業界の実態を理解できれば、今後のキャリア選択に役立てることができるしょう。
IT企業の仕事内容とは?業界の全体像を解説

そもそもIT企業とは?基本的な定義を解説
ITとはInformation Technologyの略で情報技術を意味します。よって、「IT企業」とは、情報技術を活用した様々な製品やサービスを提供する企業のことを指します。
そのためソフトウェアやインターネットサービスを提供する企業だけでなく、企業向けにITシステムの導入・運用をサポートする企業やITビジネスの提案を行うコンサルティング企業まで、多くの企業が「IT企業」に該当します。
また、「ITサービス開発企業」の中にも、自社開発と他社から発注を受けて開発する受託開発といった違いがあります。
当然のことですがIT企業の中にはエンジニアだけではなく、様々な職種が存在します。具体的には総務や経理といったバックオフィス系や、営業、マーケティングといった企業の生命線である売上を伸ばすための職種です。
エンジニアとしてIT企業に転職した場合には、こうした様々な職種のメンバーと協力し、自社のビジネスの発展に貢献していく必要があります。
IT業界の主な分類
前述したように幅広い分野に存在する「IT企業」ですが、いくつかの分野に分けることができます。以下では、IT企業を5つの分野にわけて、それぞれについて解説していきます。
① Webサービス・インターネット業界(例:Google、楽天、メルカリ)
SNSやECサイト、WEB・スマートフォンアプリの開発を行っている企業は、もっとも思い浮かびやすいIT企業と言えます。その他にもSaaSや広告プラットフォームを提供している企業もこの分類にあてはまるでしょう。
具体的には、Google、楽天、メルカリといった誰もが名前を聞いたことがある企業が挙げられます。
② ソフトウェア・システム開発業界(例:富士通、NEC、日立)
企業向けの業務システムやアプリ開発はIT業界の中でも非常に大きな市場であり、多くのエンジニアが活躍しています。この分野に属する企業は製造業など業界・業種に特化したソフトウェア・システムの開発やセキュリティソリューションの提供などを行います。
代表的なものとしては、NEC、富士通、日立といった伝統のある大企業が挙げられます。
③ ITインフラ業界(例:AWS、Microsoft、Cisco)
ITインフラ業界の企業は、サーバーやクラウドサービスの提供、ネットワーク構築を行います。クライアントの要望や課題にあわせた性能やデータ容量を見積もった上でシステム構築を行い、サービスを提供しています。そのため、こうした業界で働くエンジニアにはサーバ、ネットワーク、セキュリティなど様々な技術領域の知識が求められます。
AWS(Amazon Web Services )を提供するAmazonやMicrosoft、Ciscoといった企業が該当します。
④ ゲーム業界(例:任天堂、スクウェア・エニックス)
多くの人にとって身近な存在であるコンシューマーゲーム・ソーシャルゲームの開発を行う企業です。こうした企業において、エンジニアはゲームシステムやオンラインゲーム向けのネットワークの開発などに携わることになります。
任天堂やスクウェア・エニックスなど海外でも知名度が高いであろう企業があてはまります。
⑤ SIer(システムインテグレーター)業界(例:NTTデータ、SCSK)
システムインテグレーション企業(SIer:System Integrator)は、企業や官公庁向けにITシステムの設計・開発・導入・運用保守を行う企業を指します。クライアントの業務における課題解決のためのITソリューションを提供し、システム構築・運用を行います。
メーカー系、ユーザー系、独立系といった分類があり、NTTデータ、SCSKといった企業が該当します。
このほかにも、企業のIT戦略の立案、業務改善の提案といったコンサルティングを行うアクセンチュア、デロイト、PwCといった企業も「IT企業」ということができるでしょう。
タイプ別に考える4つのIT職種

これまで解説してきたようにIT企業は幅広い分野に携わることになるため、そのなかで働くエンジニアの役割も多岐にわたります。そのため、働く業界・業種によって求められるスキルや適性が異なります。
ここでは、「論理的思考が得意」「創造力を活かしたい」「人と関わるのが好き」「ビジネス視点で働きたい」といった4つの適性に分けて、それぞれの適性にあった職種と仕事内容を解説していきます。
論理的思考が得意な人向けのIT職種
ロジカルに物事を考え、問題を整理しながら解決するのが得意な人が向いている職種としては、以下の3つが挙げられます。
① ソフトウェアエンジニア(プログラマー)
ソフトウェアエンジニア(プログラマー)は、プログラミング技術を用いて、WEBアプリや業務システムを開発し、デバッグ、テスト、保守など多岐にわたる業務を担当します。
プログラムは論理的に構築されているため、エラーがある場合は課題を分解し、一つずつ解決する必要があります。また、最適なアルゴリズムや設計を考える際にも論理的思考が必要になります。そのため論理的思考が得意な人に向いている職種と言えるでしょう。
※ソフトウェアエンジニアに求められる主な知識:Python、Java、JavaScript など
② バックエンドエンジニア
バックエンドエンジニアは、Webサービスやアプリの開発において「裏側」となるサーバーのプログラムやデータベース設計、API開発、セキュリティ対策などを担当する職種です。
サーバーシステムの設計やエラー解析では、データの流れを把握し、原因を論理的に突き止める力が求められます。また、効率的な処理や最適なアルゴリズムを組み立てる能力も必要となるため論理的思考力の高い人に適した職種と言えます。
※バックエンドエンジニアに求められる主な知識:SQL、Node.js、Ruby on Rails など
③ インフラエンジニア(クラウド・ネットワーク)
インフラエンジニアは、システムを安定して動作させるためのサーバー、ネットワーク、クラウド環境の設計・構築・運用を担当する職種です。バックエンドエンジニアがアプリケーションの処理ロジックやデータ管理を行うのに対し、インフラエンジニアは、システムが安定稼働するためのサーバーやネットワーク管理を行います。
ネットワークやサーバーの構成を効率的に設計する際には論理的な思考能力が求められます。
※インフラエンジニアに求められる主な知識:AWS、Linux、Cisco など
創造力を活かしたい人向けのIT職種
デザインやアイデアを形にするのが得意で自身の創造力を活かしたいという人には以下の職種が向いています。
① フロントエンドエンジニア
フロントエンドエンジニアは、Webサイトやアプリのユーザーが直接触れる画面の設計・開発に携わり、UI/UXデザインの実装、パフォーマンス最適化などを行います。
ユーザーがストレスなく使用でき、魅力的なデザインを実現するためには、直感的な操作性や視覚的な工夫が求められるため創造力が必要になります。そのため、自身の創造力を活かしたいという人に適した職種と言えるでしょう。
フロントエンドエンジニアに必要な主な知識:HTML、CSS、JavaScript(React、Vue.js など)
② UI/UXデザイナー
UI/UXデザイナーは、WebサイトやアプリのUX(使いやすさ)とUI(視覚的デザイン)を設計する職種です。主な業務は、ワイヤーフレーム作成、プロトタイピング、デザイン実装の調整などで、Adobe XDやFigmaなどのツールを使用します。
直感的に操作できるデザインや、視覚的に魅力的なインターフェースを考える必要があるため、クリエイティブな能力がある人に向いた職種と言えます。
UI/UXデザイナーに必要な主な知識:Figma、Adobe XD、Sketch など
③ ゲームエンジニア
ゲームのプログラム開発、システム設計、動作最適化を担当するのがゲームエンジニアです。ゲームロジックの実装、グラフィック処理、AI開発、ネットワーク機能の構築などが主な業務です。
プレイヤーを魅了するゲーム体験を生み出すためには、独自のアイデアやインタラクション設計が不可欠です。また、キャラクターの動きやゲームの世界観に合わせたシステム開発には、技術力と創造的な発想の融合が必要です。そのため、新しい表現や仕組みを創造できる人に適性のある職種だと考えられます。
ゲームエンジニアに必要な主な知識:Unity、Unreal Engine、C# など
人と関わるのが好きな人向けのIT職種
「IT業界」というと、PCに向かい黙々と作業する様子をイメージする人も多いでしょう。しかし、人とコミュニケーションを取るのが好きで、チームワークがある人に適した職種がIT業界にもあります。
① ITコンサルタント
ITコンサルタントは、企業の業務課題をITを活用して解決するコンサルティングを行う職種です。クライアントの課題分析、IT戦略の立案、システム導入支援、プロジェクト管理などを行い、企業のビジネスの課題解決をサポートします。
クライアントのニーズを正確に把握し、経営層や現場と連携しながら業務を進めていくため、高いコミュニケーション能力が求められます。そのため、多くの人と関わりながら仕事をしたいと考えている人に向いていると言えるでしょう。
② プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー(PM)は、ITプロジェクトの計画・進行やリスク・品質を管理し、開発全体を統括する役割を担います。具体的には、スケジュール管理、タスクの割り振り、予算管理、クライアントとの調整などを行います。
プロジェクトマネージャーには、多くのメンバーと様々な調整を行いながら業務を円滑に進めていくことが求められるため、高いコミュニケーション能力が必要になります。
③ テクニカルサポート・カスタマーエンジニア
企業や個人の顧客に対し、IT製品やシステムの技術的なサポートやトラブル対応を行うのが、テクニカルサポート・カスタマーエンジニアです。問い合わせ対応、トラブルシューティング、製品の導入支援、保守・点検などが主な業務で、現地訪問やシステムの設定・修理などを行う場合もあります。
専門知識の分かりやすい説明や、顧客の立場に立った丁寧な対応が求められるため、人と接することが得意な人に向いています。
ビジネス視点で働きたい人向けのIT職種
IT業界には、「IT」という手段を活用してビジネスを成長させたいと考えている人が活躍できる職種もあります。
① IT営業
IT営業は、企業向けにIT製品やサービスを提案・販売する職種です。営業職に求められる一般的な能力に加えて、クライアントや自社の開発部門と対等に会話できるだけのIT知識が必要になります。
営業職であるためコミュニケーション能力と提案力が高い人が向いています。また、交渉力や調整力が高い人にも適した職種と言えるでしょう。
② デジタルマーケター
デジタルマーケターは、オンライン上での集客・販促戦略の立案・実行を担当する職種です。SEO対策、SNS運用、Web広告の運用、データ分析、コンテンツ企画など、あらゆる経路と手段を用いてユーザーを集めることが業務となります。
ユーザーの行動データを分析し、効果的な施策を考える力やトレンドを把握する能力が重要になるため、データやマーケティング戦略を考えるのが好きな人に向いています。
③ プロダクトマネージャー(PdM)
プロダクトマネージャー(PdM)は、製品やサービスの企画・開発・改善を行い、ビジネス目標を達成する役割を担う職種です。主な業務は、市場調査、ユーザーニーズの分析、開発チームとの調整、ロードマップ策定、プロダクトの成長戦略の立案などとなっています。
ユーザー体験とビジネスの両面を考える必要があるため、ビジネスと技術の両方に関心がある人にとっては有力な選択肢の一つとなるでしょう。
IT企業の年収事情とキャリアパス

仕事選びにおいて年収はもっとも重要な要素の一つです。
ここからはIT業界の年収事情について解説していきます。
IT業界全体の年収の傾向
転職サイト「DODA」の調査によると、ITエンジニア全体の平均年収は452万円(2023年12月時点)となっており、全職種合計414万円よりも高くなっています。
2019年からの推移を見ても、常に全職種合計よりも30~50万円程度高くなっているため、ITエンジニアは比較的高年収の仕事ということが出来るでしょう。また、最近では様々な業界の企業が人手不足に悩まされています。IT業界も同様の傾向にあるため、2025年現在は、より高い年収が期待できる可能性もあります。
職種別の年収目安
前述した調査によると、IT業界における職種ごとの平均年数は以下のようになっています。
職種 | 平均年収(全体) |
---|---|
プロジェクトマネジャー | 691万円 |
プリセールス | 609万円 |
ITコンサルタント | 602万円 |
IT戦略/システム企画 | 600万円 |
セキュリティコンサルタント/アナリスト | 597万円 |
研究開発 | 562万円 |
データサイエンティスト | 532万円 |
セキュリティエンジニア(脆弱性診断/ネットワークセキュリティ) | 487万円 |
システム開発/運用 | 472万円 |
パッケージ導入/システム導入 | 469万円 |
スマホアプリ/ネイティブアプリ系エンジニア | 461万円 |
サーバーエンジニア | 454万円 |
ネットワークエンジニア | 446万円 |
制御系ソフトウェア開発 | 430万円 |
Webサービスエンジニア | 424万円 |
SE/プログラマ | 422万円 |
テクニカルサポート | 415万円 |
データベースエンジニア | 412万円 |
運用/監視/保守 | 373万円 |
デバッグ/テスター | 372万円 |
ヘルプデスク | 345万円 |
エンジニア系職種の平均年収は400万円〜600万円程度ですが、経験やスキル次第で1000万円超を目指すことも出来ます。20~30代のうちはスキルを磨き、40代以降にマネジメント能力を新たに身に着けることで大幅な昇給を実現できるケースもあるでしょう。また年収は企業規模、職種、経験年数、地域などによって変動します。
実際、マネジメント系職種の代表格であるプロジェクトマネージャーは、上記の表の中でも平均年収が最も高く、691万円となっています。こちらも経験を積むことで1000万円を超える待遇となることも珍しくありません。
営業・マーケティング系の職種の年収は、インセンティブ次第で変動する場合もあり、成果が出せれば、その分高い年収を受け取ることができるでしょう。また、プリセールス(営業担当に同行し、営業担当者をIT知識面からサポートする役割)のような職種は平均年収も高くなっています。
未経験からエンジニアを目指す場合には、給与水準の高い職種を狙って、必要となる知識を学ぶという選択肢もあるでしょう。例えば、「クラウドエンジニア」や「データサイエンティスト」といった職種は、市場価値が高いため、比較的年収アップがしやすいと考えられます。
また、これまでの自身のスキルとエンジニアリングの知識を掛け合わせる(例:営業スキル×IT知識=プリセールス)ことで、高年収を狙える場合もあります。
年収を上げるためのキャリア戦略と継続的な学習の必要性
リスキリングなどのワードが注目を集める現状を考慮すると、継続的にスキルアップに取り組むことは、どの業界においても重要と言えます。特にIT技術は日々進化しているため継続的にスキルアップに取り組むことが必須となります。
社内の研修を利用したり、個人で勉強会に参加するなどしてスキルアップに取り組むことができるでしょう。会社によっては資格手当などが設けられているため、関連する資格を取得することで、スキルと待遇の両方をアップさせることが出来る場合もあります。
参考:エンジニアに資格は必要?就職や転職に役立つおすすめ資格6選
あるいは、独立してフリーランスになることで大きく年収を上げることができる場合もあります。働き方の柔軟性が高まるため、継続的に顧客を獲得できる可能性がある場合は検討してみてもよいでしょう。ただし、大口の取引先が急に倒産し仕事が途絶えるなどのリスクもあるため慎重に判断する必要があります。
独立よりもリスクを抑えて大きく給与を上げたい場合には転職が有力な選択肢になります。今後成長ができるスタートアップ企業に転職することで、ストックオプションの恩恵を受けることが出来る場合もあります。
いずれの場合も、継続的なスキルアップと定期的なスキルの棚卸が必要であることは理解しておいた方が良いでしょう。
Unitas(ユニタス)は未経験からのエンジニア転職をサポート
未経験者からのエンジニア転職を支援するユニタスでは、経験豊富なキャリアアドバイザーが求職者一人ひとりに最適な求人を提案しています。また、転職支援だけでなく、キャリア診断やリスキリング支援など、スキルアップのための広範かつ包括的なサポートも提供しています。
エンジニア未経験者であってもポテンシャルを重視し、育成を通じて一人前のエンジニアへと成長させることが出来る体制となっています。
そのため「どのような職種であれば、IT業界において自身のスキルや適性を生かすことができるのか」と悩んでいる人にとって、ユニタスは心強い見方となるでしょう。
IT企業の職種を理解して、さらなる年収アップを
これまで解説してきたようにIT企業には、エンジニア職だけでなく、営業やマーケティングなど様々な職種があります。システム開発、インフラ構築、データ分析に関わるエンジニア職だけでなく、クライアントとの関係を築く営業や、デジタル施策を駆使して市場を拡大するマーケティング職もIT企業の中で重要な役割を担っています。そのため、これまでの自身のスキルとエンジニアリングをかけあわせることで、IT企業における新たなキャリアを拓くことできる可能性もあるでしょう。
また、IT業界は高年収を狙いやすい業界ですが、そのためには継続的なスキルアップが不可欠です。特にプログラミングやクラウド技術、データ分析などの専門スキルを磨くことで、キャリアアップの可能性が広がります。また、今後の技術動向やトレンドを予測し、ニーズが高いスキルを身に着けることで給与アップも狙いやすくなるでしょう。
IT業界は成長産業であり、今後も需要が拡大すると予測されています。常に学び続ける姿勢が求められる一方で、それに見合うだけのチャンスがある業界ともいえます。未経験からでも挑戦する価値は十分にあるため、ユニタスを活用し新たなキャリアの可能性を検討してみてはいかがでしょうか。