自社開発”や”受託開発”に未経験から行ける?現実的なキャリアルートと戦略を解説

「未経験から自社開発や受託開発企業への転職は難しい」──SNSや求人サイトでこんな声を目にし、不安を感じている人もいるでしょう。確かに、経験の浅い状態で、ベテランエンジニアが集まる現場にいきなり飛び込むのは簡単ではありません。しかし、戦略と準備次第で道を拓くことができる可能性はあります。
この記事では、SESから自社開発へステップアップした実例や、未経験から自社開発・受託開発を目指すための現実的なキャリアルートを解説していきます。学習計画の立て方、ポートフォリオの作り方、転職市場で評価されるスキル獲得の順序など、具体的な方法を提示し、いわゆる「現場ガチャ」任せではない、自分の未来を設計するためのヒントをお届けします。
未経験で自社開発は無理なのか?

「未経験から自社開発なんて無理」「未経験OKはブラック」といった声をSNSや転職サイトの口コミで見掛けることも多いでしょう。こうした意見は、残念ながら一部は事実といえます。
実際、経験ゼロでいきなり自社開発企業に採用されるケースはごくわずかで、多くの場合はSESや受託開発などの現場を経て、段階的にスキルと実績を積む必要があります。つまり、それだけハードルが高く、未経験から採用されるのは困難といえます。
しかし、未経験からスタートし、自社開発企業で働くというキャリアを構築するということは、難しいけれどルートを踏めば十分に可能。学習の方向性を誤らず、必要なスキルを計画的に磨き、評価される実績を作れば、自社開発への道は十分に開けます。
重要なのは、闇雲に求人案件に応募するだけではなく、戦略的にキャリアを構築する姿勢だといえます。
未経験から目指す「自社開発企業」に必要なスキル感
未経験から自社開発企業を目指す際に求められるスキルは、企業規模やフェーズ(ベンチャー/大手)、ポジション(初級/中級以上)、担当業務によって変わります。
おおよその目安を表にまとめると以下のようなイメージとなります。
項目 | 必要レベル感 | 備考 |
---|---|---|
開発言語の理解(Java/PHP/Ruby/Pythonなど) | 基本文法と簡単なWebアプリが作れる | フレームワークを使ったCRUDアプリを自走で作れると◎ |
HTML/CSS/JavaScriptの基礎 | 簡単な静的ページ+イベント実装 | フロントエンドとの連携意識があると強みになる |
Gitの使用 | ブランチ運用、コミット、プルリク経験 | GitHubでチーム開発フローの理解が必要(独学より大事) |
DBの基礎理解 | SELECT文が書けて、簡単なテーブル設計ができる | SQLの基本操作+リレーション理解があると有利 |
フレームワーク経験 | 初歩的でOK(Rails/Laravel/Spring Bootなど) | チュートリアル超えた独自実装があれば◎ |
ポートフォリオ | 1〜2個、自作アプリが公開できている | ソースコード+README(設計・工夫の説明)も重要 |
自社開発企業を目指すうえでは、まず開発言語(Java/PHP/Ruby/Pythonなど)は、基本文法と簡単なWebアプリを作れるレベルが必須となります。また、HTML/CSS/JavaScriptの基礎については、静的ページや簡単なイベント実装ができ、フロントエンドとの連携を意識できた方が良いでしょう。
Gitはブランチ運用やプルリク経験があり、GitHubでのチーム開発フローを理解していることが重要になります。さらにDBはSELECT文が書け、簡単なテーブル設計やリレーション理解があると有利に働くでしょう。
フレームワークはRailsやLaravelなどでチュートリアルを超えた独自実装ができることが目安となります。なお、ポートフォリオ上で1〜2個、自作アプリを公開し、READMEで設計や工夫を説明できると自社開発企業に挑戦しやすいと考えられます。
自社開発企業を目指すうえでは、これらのスキルレベルに加えて、プラスアルファが必要になります。例えば、「コードが書ける」だけでは不十分で、仕様を理解し他職種と連携できるコミュニケーション力は必須です。
また、レビューを受け入れ改善する姿勢、技術を学び続ける習慣が欠かせません。コードを“書ける”だけでなく、“直せる・学べる”スタンスの方が評価されやすいでしょう。こうした基礎と姿勢を、ポートフォリオなどの成果物で具体的に示すことが、自社開発企業への切符を手にするためには必要になります。
自社開発企業への戦略的な3つのキャリアルート

「いつかは自社開発企業へ」と願っていても、場当たり的に転職しているようでは、理想を実現することは困難です。重要なのは、“何を得るために、どこを経由するか”を逆算してキャリアを組み立てることです。
ここからは、未経験者が現実的に自社開発へ到達するための3つの戦略ルートを紹介します。
【ルート①】段階的にステップアップする「王道ルート」
未経験から自社開発企業を目指すなら、まずは開発寄りのSESで現場経験を積み、次に受託開発で実装力を磨き、最終的に自社開発へ挑むというステップアップ型が王道といえます。
第一段階では、 SESの選び方が成否を分けます。SESは案件の幅が広く、テストや運用保守ばかりの案件ではスキルが伸びにくいため、必ずコーディング業務に関われる案件を狙いましょう。ここで基礎的な開発経験を身につけます。
第二段階では、教育体制が整い、幅広い案件に携われる受託開発企業へ転職。短納期案件が多く、実装スピードや問題解決力が鍛えられる環境が望ましいでしょう。複数プロジェクトを経験できるため、技術的引き出しが増え、自信もつきます。
そして第三段階で、実務2〜3年相当のスキルと成果を武器に、自社開発企業の選考に挑戦。開発の流れを理解し、即戦力としてアピールできるため、内定獲得率が格段に上がります。
このルートは時間こそかかりますが、確実性と再現性が高く、安定してキャリアアップを実現できる方法といえます。
おすすめタイプ:すでにSESで働いている人、開発現場経験が少しある人
【ルート②】学習+副業で実績を作ってから転職
このルートは、まず独学またはスクールでプログラミングの基礎と実務寄りのスキルを習得し、その後ポートフォリオ作成、副業案件での実績作りを経て転職するというものです。
第一段階では、開発言語の文法だけでなく、Gitでのチーム開発、RailsやLaravelなどのフレームワーク、DB設計やSQLといった“現場で使う前提”の技術まで学びます。ここで重要なのは「実装できる状態」になることです。
次の段階では、ポートフォリオを作成します。CRUD機能を備えたWebアプリを1〜2本公開し、GitHubにコードとREADME(設計意図や工夫点の説明)を載せることで、アウトプットの質が高まります。
その後、副業で小規模な案件を受注します。LP制作や簡単な機能追加といった案件でも、実案件としての納品経験は「実務経験あり」として評価されます。納期遵守やクライアントとのコミュニケーションといった経験も企業にアピールすることができます。
こうして実績を積んだ上で、自社開発や受託開発企業へ挑戦すれば、未経験枠ではなく経験者枠として応募でき、選考通過率が大幅に向上します。時間と努力は必要ですが、「いきなり現場」に飛び込むよりも、武器を揃えて臨める堅実なルートといえます。
おすすめタイプ:現職に余裕があり、学習と副業を並行できる人/異業種からの挑戦者
【ルート③】スクール+就職支援経由で未経験向け求人を狙う
このルートは、就職支援付きのプログラミングスクールを活用し、提携企業(受託開発や自社開発)への入社を狙う方法です。
スクールで学ぶ内容は座学中心ではなく、チーム開発やGitを使ったブランチ運用、基本的な設計スキルなど、現場に近い形の実践的カリキュラムが多いものがよいでしょう。特に複数人での開発経験やコードレビューを受ける経験は、独学では得にくい貴重な要素となります。
就職支援つきスクールでは、キャリアアドバイザーが受講生のスキルや志向に合わせて企業を紹介してくれるため、“教育前提”で採用する中小ベンチャーにアプローチできます。これにより、未経験でも研修やOJTを通じて成長を前提としたポジションを獲得しやすくなります。
入社後は、提携先企業で実務経験を積みながら、チーム開発やレビュー対応を通じて実務力を磨きます。ここで得た経験は、その後のキャリアアップに直結します。スクール費用や時間はかかりますが、最初から開発業務に触れられる環境で働けるため、「学習から実務」への橋渡しとして効率的なルートといえます。
おすすめタイプ:完全未経験で自走が難しい人/短期でスキルをつけて早く働きたい人
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自社開発を目指すための学習&準備法

自社開発企業を目指すうえで、独学には限界があります。
独学は基礎を学び、理解する上では有効ですが、チーム開発やコードレビューといった“実務ならでは”の経験を得にくいという問題があるからです。そのため、スクールやメンターレビューを活用し、設計〜実装〜レビュー対応までを含む実務風の学びを取り入れましょう。

ポートフォリオは数より質が重要で、実装意図や再現性をREADMEで明確に示すことが評価につながります。最終的には「実務に近い経験を積める環境」を意識的に作ることが、自社開発企業を目指すうえで、重要になります。
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「未経験OK求人」の見極めポイント

自社開発企業を目指して転職活動をする際に、「自社開発」という言葉だけで応募を決めないほうがよいでしょう。応募を検討している企業の教育体制やOJT内容、コードレビューの仕組みが明記されているかどうか、といった点をまず確認するとよいでしょう。
また、社員インタビューや技術ブログ、開発環境の情報公開がある企業は、現場の透明性や学べる環境への意識が高い傾向にあります。重要なのは「育てる前提」で採用する会社か、それとも「即戦力を求めているだけ」なのかを見極めることです。
ここを誤ると、入社後にミスマッチが生じる可能性が高まります。

未経験でも自分の理想をつかみとる挑戦を
未経験からいきなり自社開発企業に入社するというキャリアの実現は非常に困難です。しかし、正しい努力と戦略を積み重ねれば、自社開発企業でエンジニアとして働くことは不可能ではありません。
SNSや口コミのネガティブな声に流されず、「自分がどんな働き方をしたいのか」という理想像を軸に、逆算しながら行動していくことが重要になります。そのためには、自分に合ったルートを見極め、焦らずとも確実にステップを踏むこと。
学習で知識を得て、発信で存在を示し、実践で経験を積み、相談で軌道修正する──このサイクルを回し続けることで、理想のキャリアへと近づくことができるでしょう。
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