未経験エンジニア採用のリアル!Unitas(ユニタス)代表が語る企業が本当に求める人材
エンジニアとしての実務経験が少ない、または全くない場合、面接でどう評価されるのか不安に感じる人が多いでしょう。実際に、未経験者を採用する企業では、その人のどのような点を評価し、どんな基準で合否を決めているのでしょうか。エンジニアを対象とした転職エージェントUnitas(ユニタス)の細川代表に未経験エンジニア採用のリアルについて話を聞きました。
未経験でもエンジニアが大量採用される背景
― 未経験エンジニアの採用が増えているようですが、これはどのような背景があるのでしょうか?
近年、企業が抱えるシステム開発や受託開発の案件数が増え、これを処理するためにはエンジニアが必要不可欠です。しかし、特に3〜5年の実務経験を持つ中堅層の人材が取り合いの状態になっているため、企業は未経験者を育成する方針にシフトしている傾向があります。
ポテンシャルを重視して、未経験者でも採用し、成長をサポートして一人前にする流れが広がっているのは、まさに需要の高さゆえと言えるでしょう。
未経験者にとっては、今がまさにエンジニアを目指すチャンスと言えます。企業が育成に力を入れ始めているため、プログラミングスクールや独学で基礎を学び、面接でポテンシャルをアピールすることで、採用の可能性が広がっています。
― 未経験でもエンジニアを目指す人はどのようなタイプが多いと感じていますか?
現在の仕事に将来性を感じられない人たちが、需要の高いエンジニア業界に進もうと決めることが多いですね。エンジニア業界は今後もニーズが増え続けることが明らかなので、将来性のある仕事として選ばれている印象です。また、手に職をつけたいという目的でエンジニアを選ぶ方も増えています。特に、専門スキルを持つことでキャリアの安定を図りたいと考える人にとって、エンジニアリングスキルは大きな魅力です。
さらに最近では、リモートワークや在宅勤務を希望する人たちが「自宅でできる仕事」を探している中で、エンジニアが選択肢に浮上し、そこから興味を持つという流れも見られます。
未経験エンジニア採用で企業が重視するのはここ!職歴・覚悟・学びの姿勢
ー 企業が未経験エンジニアを採用するときに特に注意する点はどのようなことでしょうか。
エンジニアに関わらず、企業が一番気にするのは、過去の職歴が安定しているかどうかです。過去の職歴が不安定で、短期間で職を転々としていると、またすぐに辞めてしまうのではないかと思われる可能性が高くなります。
具体的にいうと、20代で3社以上、特に4社以上を経験していると、採用担当者から「この人は長く続けられないのでは」と判断される可能性が高まります。
― ブランクがある場合、未経験エンジニアとして不利になるのでしょうか?
ブランクは確かに不利になることが多いです。IT企業では、実務経験からブランク期間を差し引いて考えるのが一般的です。例えば、実務経験が5年ありブランクが3年の場合、「実質的な経験は2年」と見られることがあります。
ただ、家庭の事情や健康上の理由がある場合など、ブランクについて、どのように説明するかで印象が変わる可能性はあります。
― 職歴以外に、企業が重視するポイントはありますか?
エンジニアを目指す「覚悟」ですね。これを確かめるために、企業はさまざまな質問を投げかけてきます。その中で、プログラミングスクールに通っていることは、覚悟の象徴として高く評価されることが多いですね。
プログラミングスクールは一般的に半年間で約80万円ほどの費用がかかるケースが多いです。その金額を支払って学習しているという事実だけでも、本気でエンジニアを目指している覚悟が感じられるからです。
学習内容ももちろん重要ですが、企業側は費用や時間を投資している姿勢そのものを評価する傾向にあります。
面接で見られるのは「コミュニケーション力」と「自主性」
― 企業が面接の場で重視するのは、どのような点でしょうか?
以前、SES企業で活躍するエンジニアの特徴を分析するプロジェクトに参加した際、人事担当者や現場マネージャーへのインタビューを通じて、重要な要素が大きく2つに絞られることが分かりました。それは「コミュニケーション力」と「自主性」です。
まず「コミュニケーション力」ですが、これは非常に重視されます。特にSESの場合は、客先で業務を行うスタイルが主流です。そのため、クライアントと良好な関係を築けるかどうかが大きなポイントです。論理的に話すスキルよりも、むしろ「相手に可愛がられる力」や「懐に入り込む力」が評価されることが多いです。
実際に、エンジニアの場合、黙考してしまう人が多いのも課題です。たとえば、マネージャーからの問いかけに対して無反応だったり、自分の考えを表に出さないことが現場でのNGになりやすいです。
― 2つ目の「自主性」についても具体的に教えてください。
「自主性」は、優秀なエンジニアとそうでないエンジニアを分ける重要な要素です。企業が求めるのは、指示を待つだけではなく、自分で考え、行動を起こせる人材です。クライアントの要望をただ受け入れるだけでなく、「こんな提案もあります」と積極的にアプローチできるような姿勢ですね。
ただし、これはある程度の経験やスキルが求められる要素でもあるので、未経験者の場合はまずコミュニケーション力を重視する傾向が強いです。主体性のある人材はさらに重宝されるので、意識してアピールできるとよいでしょう。
― 面接でこれらの要素をどう見極めているのでしょうか?
30分程度の面接時間でも、受け答えの中で自然とこうした特性が表れるものです。面接官は、日常の行動パターンや考え方が見えるような質問を投げかけながら、その人のコミュニケーション力や自主性を評価していると感じます。
たとえば、「失敗したらどうしますか?」という質問で、「すぐに相談して対処します」と答えられるかどうかがポイントです。逆に、「自分で抱え込んで対応します」という回答をする人は、協調性が低いと判断されることが多いです。
コミュニケーションに自信がない人は「こだわり」をなくす
― コミュニケーションに自信がないという方の場合は、どのような点をアピールすれば採用につながるのでしょうか?
コミュニケーション能力は確かに重視されることが多いですが、短期間で大きく変えるのが難しいスキルです。だからこそ、面接では別の部分でしっかりアピールすることが重要です。その際、私がまずお伝えしたいのは「こだわり」をなくすことです。
特に未経験エンジニアを多く受け入れるSES企業では、契約しているプロジェクト数が多いので、採用基準が比較的広いことが特徴です。
しかし、例えば、「Pythonを使った仕事しかしたくない」とか、「勤務地は銀座に限定したい」といった条件を提示してしまうと、プロジェクト数がいくら多くても、選べる選択肢は極端に狭まります。
勤務地や業務内容についてのこだわりをなくし、「どんな仕事でも挑戦します」という姿勢を見せることです。この柔軟性をアピールするだけで、企業の採用目線は大きく変わります。特に未経験での応募では、この柔軟な姿勢が採用の決め手になることも多いです。
― 未経験エンジニアが面接で失敗しがちなことは何でしょうか?
「前の会社を辞めた理由」の伝え方には注意が必要ですね。辞めた理由を話す際に、いわゆる“他責”の表現になってしまうケースが挙げられます。例えば、「前職がブラック企業だった」「会社の環境が悪かった」というような発言です。もちろん、それが事実であっても、そのまま伝えてしまうと、「この人は困難な状況になるとすぐ辞めてしまうのではないか」という印象を与えてしまいます。
そうではなく、自分の成長やキャリアを主体的に考えた結果としての退職理由に言い換えるのがポイントです。例えば、「もっとスキルアップしたいと思ったから」「次のステップに進みたかったから」といった前向きな表現に変えることで、面接官にポジティブな印象を与えられます。
― 他にはどのような失敗例がありますか?
条件を面接で話しすぎるのもよくないですね。例えば、「朝が苦手だからフレックスタイムがいい」とか、「在宅勤務を希望します」など、自分の希望を面接の場で率直に伝えてしまう。
面接は、企業に自分のやる気や適応力を示す場です。条件を先に話してしまうと、会社に合わせる意志がないのではないかと思われる可能性があります。本当は条件を重視する気持ちがあっても、面接の場ではそれを一旦隠し、「どんな環境でも努力します」という姿勢を見せることが大切です。
条件に関しては、内定が出てから話し合う方が良いと思います。面接の段階で自分の要望を伝える必要はありません。素直に「頑張ります」という気持ちを表現することが重要です。
プログラミングスクールに通うことは大きなアピールになる
― 未経験エンジニアにとって、プログラミングスクールに通うことが重要だと言われる理由を教えてください。
プログラミングスクールに通うことは、企業に対して大きなアピールポイントになります。企業が面接で重視するのは、どれくらい真剣にエンジニアを目指して学んできたのかという覚悟の部分です。たとえば、1日4時間を2年間継続して勉強してきたと話せば、企業側もしっかりと準備していると認識します。一方で、1ヶ月だけなんとなく勉強していましたというレベルでは、本気度が足りないと見られることが多いです。
具体的にどれだけの時間を費やし、どんなプログラミング言語を習得したのかが重要です。さらに、ポートフォリオを用意しておくことで、実際にこれだけのことができますと成果をアピールできるので、採用の確率が上がります。
― 実際にプログラミングスクールで勉強する人は、どのくらいの割合なのでしょうか?
私が面接する未経験エンジニアの方々の中では、プログラミングスクールに通った人は約2割程度です。残りの8割は、独学で学んでいる人や、まだプログラミングに触れたことがない人も含まれています。
スクールに通っている方は少数派ですが、それだけに企業側にとっては好印象を与える材料になります。スクールでの学習経験があると、覚悟のある人材として認識され、採用の可能性が高まります。
転職エージェントに相談するベストなタイミングは?
― 未経験だけどエンジニアを目指す方が、転職エージェントにキャリア相談をするのは、どのようなタイミングが最適なのでしょうか。
キャリア相談のタイミングは、「どんな仕事に就きたいか」をまず明確にすることが大事です。その上で、目指す職種によって相談する時期や準備の内容が変わってくると思います。
最初から「コーディングを行うプログラマーとして働きたい」という明確な目標がある場合は、まず先にプログラミングスクールで学ぶことをおすすめします。スクールに通うことで、即戦力として必要なスキルを身につけられるだけでなく、自分の実力を証明するポートフォリオを作ることもできます。こうした準備を整えた上で相談に来ていただくと、より具体的なキャリアプランが描きやすくなります。
逆に、「IT業界に入れればいい」といったケースでは、勉強のタイミングにこだわる必要はありません。そうした場合は、キャリア相談を早めに始めていただき、業界全体の選択肢や必要な準備を一緒に考えていく形が良いでしょう。
Unitas(ユニタス)は候補者に寄り添う面談スタイルが強み
―Unitas(ユニタス)は他の大手人材紹介会社と比べて、どのような点で差別化しているのでしょうか?
大手の人材紹介会社は、どうしても仕組み化された流れで運営されています。例えば、最初のキャリアアドバイザー(CA)がヒアリングを行い、その後別の担当者がエントリーを進める、といった形ですね。この流れは効率的ではありますが、候補者一人ひとりのキャリアを深く理解するには限界があると感じています。
Unitas(ユニタス)では、こうした流れとは異なり、候補者のキャリアをしっかり受け止め、じっくりと時間をかけることを重視しています。短い面談で終わらせるのではなく、必要に応じて複数回の面談を行い、候補者のキャリアの方向性を一緒に考えます。時間をかけて候補者の希望を深く理解することができるのが、私たちの最大の強みだと考えています。