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転職先の選び方|ブラックかホワイトかより「4つの優先順位」

転職先の選び方|ブラックかホワイトかより「4つの優先順位」

「ブラック企業だけは避けたい」——転職を考え始めたとき、最初にそう思う人は少なくありません。けれど、いざ求人サイトを開いて並んだ会社を眺めていると、今度は手が止まってしまう。避けたいものははっきりしているのに、では何を基準に選べばいいのかが、うまく言葉にならない。

「やっぱりホワイト企業がいいのかな」とも思う。でも、それが本当に自分にとっての正解なのかと問われると、そこも自信を持って頷けない——。そんな揺れを抱えたまま、求人を前にして時間だけが過ぎていく。決して珍しい状態ではありません。

転職先がなかなか決められないのは、選び方を知らないからではないのかもしれません。「ブラックかホワイトか」という二つのラベルだけでは、自分に合う会社の輪郭は見えてこないのです。この記事では、そのラベルの外側にある「自分なりの選ぶ基準」を、急がず一緒に整理していきます。

この記事でわかること

  • 「ブラック企業は避けたい」という気持ちだけでは、なぜ転職先が決められなくなるのか
  • 「ホワイト企業がいい」という考え方に潜む、意外な落とし穴
  • 他人がつけた「ブラック/ホワイト」のラベルから、自分の基準へ切り替える考え方
  • 転職先を決める前に整理しておきたい「4つの優先順位」と、その使い方

「ブラック企業は避けたい」——それでも転職先が決められない理由

転職を考えるとき、多くの人がまず思い浮かべるのは「ブラック企業だけは避けたい」という気持ちです。長時間労働、休めない、理不尽な扱い——前の職場やまわりの話で見聞きしたしんどさを、もう繰り返したくない。その願いはとても自然なものです。

Unitas(ユニタス)のLINE相談でも、「ブラックは避けたいけれど、何を基準に選べばいいか分からない」というご相談はとても多く寄せられます。つまり、ここで立ち止まってしまうのは、特別なことではないのです。「避けたい」という気持ちは、転職活動を始める強い動機になります。けれど、それだけでは前に進めなくなる瞬間が、たしかにあります。

でも"避けたいもの"を並べても、選ぶ基準にはならない

「残業が多いのは嫌」「人間関係がギスギスしているのは無理」「給料が低すぎるのは困る」。避けたいものを挙げていくと、リストはどんどん長くなります。けれど不思議なことに、避けたいものをいくら並べても、「では、どの会社を選ぶか」という問いには答えが出ません。

それもそのはずで、"避けたいもの"は会社を消去していく基準にはなっても、残った会社の中から一つを選び取る基準にはならないからです。地雷を避けて歩くことと、行きたい場所を決めることは、別の作業なのです。

「このままでいいのかな」というモヤモヤの段階から動き出した人ほど、この「避けたいは分かるけど、選べない」状態にぶつかりやすいかもしれません(参考:「『なんとなく転職したい』は危険サイン?」)。次の章では、その裏返しでよく出てくる「ホワイト企業がいい」という考え方を、もう少し掘り下げてみます。

「ホワイト企業に行きたい」が、意外と落とし穴になることもある

「ホワイトすぎて物足りない」という声が増えている

ブラックの反対側にあるのが「ホワイト企業」です。残業が少なく、休みもしっかり取れて、人間関係も穏やか。たしかに魅力的に聞こえます。けれど近年、その「働きやすい職場」に入ったはずなのに、別の不安を抱える人が増えています。

たとえばリクルートワークス研究所の調査では、大手企業の入社1〜3年目社員のうち、およそ3人に1人が自分の職場を「ゆるい」と感じている、という結果が出ています(参考:リクルートワークス研究所「『ゆるい職場』と若手の研究」)。叱られず、無理もさせられず、居心地は悪くない。それでも「このままここにいて成長できるのだろうか」という、別の種類のモヤモヤが生まれてくる。「ホワイトすぎて物足りない」という感覚は、決して一部の人だけのものではないのです。

しんどさの裏返しで選ぶと、別の不満にぶつかりやすい

ここで見えてくるのは、「ホワイトであること」と「自分が満たされること」は、必ずしも同じではないという事実です。今がしんどいから、その逆へ——という選び方をすると、しんどさからは逃れられても、今度は手応えのなさや退屈さといった、まったく別の物足りなさにぶつかることがあります。

つまり「ブラックか、ホワイトか」という二択そのものが、選ぶための物差しとしては少し粗いのかもしれません。どちらを選んでも、自分にとって本当に大事なものがそこに入っていなければ、「思っていたのと違う」という感覚は残ってしまう。次の章では、そもそもこの「ブラック/ホワイト」というラベルが何なのかを、もう一歩引いて見てみます。

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そもそも「ブラック/ホワイト」は、他人がつけたラベル

 

同じ会社でも、人によって「ブラック」かどうかは変わる

ここで一度、立ち止まって考えてみたいことがあります。「ブラック企業」「ホワイト企業」という言葉は、いったい誰が決めているのでしょうか。

たとえば、月の残業が30時間ある会社があったとします。これを「とても耐えられない、ブラックだ」と感じる人もいれば、「その分しっかり稼げて、やりがいもある」と前向きに受け止める人もいます。あるいは、マニュアルがほとんどなく自分で考えて進める職場を「放り出されているようで不安」と感じる人もいれば、「自分のやり方で仕事を作れて面白い」と受け取る人もいる。決められた手順どおりに正確に動きたい人と、自分で道を作っていきたい人とでは、同じ環境がまるで違って見えるのです。同じ会社、同じ条件でも、それを黒と見るか白と見るかは、受け取る人によって変わります。

つまり「ブラック/ホワイト」というラベルは、その会社そのものの絶対的な性質というより、誰かが自分の感覚で貼った評価にすぎません。口コミサイトの星の数も、SNSで流れてくる「あの会社はやばい」という話も、その人にとっての黒や白であって、自分にとってのそれとは限らないのです。

大事なのは"逆"を探すことではなく、何を優先するかを先に決めること

そう考えると、転職先選びでまずやるべきは、世の中のラベルを集めて回ることではないのかもしれません。他人のものさしをいくら並べても、自分が何を大事にしたいのかは見えてこないからです。

Unitas(ユニタス)から見ると、「ホワイト企業に行きたい」という言葉は、多くの場合「いまがしんどいから、その逆へ行きたい」という反転の願望です。けれど、しんどさの裏返しで会社を選ぶと、今度は別の物足りなさにぶつかることがあります。大切なのは"逆"を探すことではなく、自分が何を優先したいかを先に決めることです。

転職先を決める前に整理する、4つの優先順位

転職先を選ぶときの「4つの軸」

1 時間

労働時間・休日・働く場所の柔軟性。自分の生活との重なり方。

2 人間関係

職場の雰囲気・上司や同僚との相性。働く毎日の心地よさ。

3 評価

給与・昇給・成果が正当に見てもらえるか。報われる感覚。

4 成長

スキル・裁量・キャリアの広がり。これからの自分への投資。

「自分が何を優先したいか」を考えるとき、いきなり「何が大事ですか」と問われても、なかなか言葉になりません。そこで、会社選びで多くの人が気にするポイントを、大きく4つの軸に分けて整理してみます。どれが正しいというものではなく、自分はどれを上に置きたいかを見つけるための、4つの引き出しだと思ってください。

【時間の優先度】——働く時間と休みをどう確保したいか

どれくらい働くか、どれくらい休めるか、リモートや時短といった柔軟さがあるか。プライベートや家族との時間を何より大事にしたい時期もあれば、今はとにかく仕事に打ち込みたいという時期もあります。どちらが良い悪いではなく、今の自分の暮らしに、どんな時間の使い方が合っているか、という問いです。

【人間関係の優先度】——どんな雰囲気の中で働きたいか

毎日顔を合わせる人たちと、心地よく働けるか。前の職場の人間関係でつらい思いをした人ほど、この軸を高く置きたくなるかもしれません。一方で、人とほどよい距離を保てればそれでいい、という人もいます。職場の空気は、入ってみないと完全には分からない部分もありますが、面接での雰囲気や、社員の話し方から見えてくるものもあります。

【評価の優先度】——働いた分を、どう認めてもらいたいか

働いた分が、給与や評価という形で正しく返ってくるか。お金そのものより「ちゃんと見てもらえている」という納得感を大事にする人も少なくありません。今より年収を上げたいのか、今は維持できれば十分なのか。ここも、人によって置きたい高さがまったく違う軸です。

【成長の優先度】——スキルや裁量を、どこまで求めるか

新しいことを学べるか、任せてもらえるか、将来につながる経験が積めるか。「ホワイトすぎて物足りない」という感覚が出てくるのは、多くの場合この軸が満たされていないときです。とはいえ、今は無理なく働くことを優先したいなら、成長の軸を一番上に置かなくてもかまいません。

4つすべては満たせない——だから優先順位をつける

ここで一つ、正直にお伝えしておきたいことがあります。時間も人間関係も評価も成長も、すべてが理想的に揃った会社は、現実にはほとんど存在しません。どれかを取れば、どれかは少し諦めることになる。それが転職先選びの、避けられない一面です。

だからこそ、4つを「全部欲しい」とぼんやり眺めるのではなく、自分の中で順位をつけることに意味があります。今の自分は、どの軸を一番上に置きたいのか。逆に、ここは多少目をつぶってもいいと思えるのはどれか。順位が見えてくると、ラベルでは選べなかった求人が、急に比べられるものに変わっていきます。

自分の優先順位を、求人選びにどう使うか

求人票の「どこを見るか」が変わる

優先順位が見えてくると、求人サイトの眺め方そのものが変わってきます。これまでは「なんとなく良さそう」「なんとなく不安」という曖昧な印象で求人を眺めていたのが、自分の上位の軸に照らして読めるようになるからです。

たとえば「時間」を一番上に置いた人なら、求人票の中でも残業時間の記載、休日数、リモートや時短の可否といった部分に自然と目がいきます。「成長」を上位に置いた人なら、任される業務の幅や、研修・キャリアパスの記載が気になるはずです。同じ求人票でも、何を優先するかが決まっていれば、見るべき場所が絞られ、判断が速くなります。

逆に言えば、優先順位が定まらないまま求人を眺めると、すべての情報が等しく気になってしまい、かえって決められなくなります。最初に手が止まっていたのは、選び方を知らなかったからではなく、見るべき場所が定まっていなかったから、とも言えるのです。

軸が決まったら、次は"言葉にする"段階へ

優先順位の整理は、転職活動のゴールではなく、入り口です。「自分は時間を大事にしたい」「成長できる環境がいい」と分かってきたら、次はそれを、面接や応募書類で伝えられる言葉に変えていく段階に入ります。

このとき役に立つのが、「キャリアの軸」という考え方です。自分が大事にしたいものを、転職理由や志望動機として語れる形に整える方法は、別の記事で詳しく扱っています(参考:「キャリアの軸の決め方|面接で使える10の問いかけ」)。優先順位という"感覚"を、相手に伝わる"言葉"に翻訳していく——その作業が、転職先を自分で選び、自分で動かしていく次の一歩になります。

「正解の会社」を探すより、「自分の優先順位」を決める

てしまいます。けれど、ここまで見てきたように、「ブラック」も「ホワイト」も、誰かが自分の感覚で貼ったラベルにすぎません。同じ会社が、ある人には黒く、別の人には白く見えるだとすれば、世の中の評価をいくら集めても、自分にとっての正解はそこには書かれていないのです。

大切なのは、正解の会社を探すことではなく、自分の優先順位を先に決めること。これが、ラベルに振り回されない転職先の選び方の出発点です。時間・人間関係・評価・成長という4つの軸のうち、今の自分は何を一番上に置きたいのか。それが見えてくると、ラベルの外側で、自分の基準で求人を選べるようになります。

すぐに転職する、しないにかかわらず、自分の優先順位を整理しておくことには意味があります。それは、これからのキャリアを誰かに委ねるのではなく、自分で選び、自分で動かしていくための、最初の一歩だからです。

重視したい軸別|向いている会社の見方

重視したい軸
向いている会社の特徴・求人票の見方
時間
残業時間・休日数の記載が具体的。リモートや時短など、働き方の選択肢が用意されている。
人間関係
面接で職場の雰囲気が伝わる。チーム体制や一緒に働く人について、具体的に話してくれる。
評価
評価制度や昇給の仕組みが明確。何が成果として認められるかが、入る前に見えやすい。
成長
任される業務の幅やキャリアパスの記載がある。研修や挑戦の機会について触れられている。

転職を始めるタイミングに迷っている場合は、あわせて「夏のボーナス前に動くべきか、迷ったときの判断基準」もご覧ください。

編集後記|Unitas(ユニタス)から見ると

LINE相談でも、「ブラックは避けたい」から話が始まる方はとても多くいらっしゃいます。けれど少し話していくと、本当に気にしていたのは残業そのものではなく、「頑張りを見てもらえないこと」だった、というケースは珍しくありません。避けたいものの奥には、たいてい"本当に大事にしたいもの"が隠れています。優先順位の整理は、その奥を一緒に掘り起こす作業でもあります。

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