SES案件ガチャって?配属先のリアルと回避法

未経験からエンジニアとして経験を積む入口として多く選ばれるのがSESです。ただし、配属先は自分でコントロールできず“運任せ”になることも多く、俗に『SES案件ガチャ』と呼ばれます。外れを引けば単純作業ばかり、当たりを引けば最新技術やリモート環境──キャリアの行方は大きく左右されます。
この記事ではSESにおける配属の実情と、キャリア形成に役立つ案件を見極めるための具体的なポイントを解説し、安心して成長できる環境を選ぶためのヒントを提示します。
よく聞く「SESの案件ガチャ」ってなに?

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、エンジニアが自社に所属しながら、契約先の企業に常駐して業務を行う働き方を指します。プロジェクトごとに配属先が変わるため、多様な現場で経験を積める一方で、自分では配属をコントロールしにくいという特徴があります。
そこでよく使われるのが「SES案件ガチャ」という表現です。これは、どの現場にアサインされるかが“運任せ”になってしまい、期待していた仕事内容と異なるケースがあることを意味します。SNSでも「SESは会社の運ゲー要素が強い」「案件ガチャで最悪を引いてキャリアが詰んだ人をよく見る」といった声が上がっており、配属先によってスキルの伸びや評価に大きな差が出るケースが実際にあることがうかがえます。
こうしたリスクを避けるためには、事前に案件内容を確認することや、希望を営業担当に明確に伝えることが不可欠です。さらに、サポート体制が整っているSES企業を選ぶことも重要で、「外れ案件」に振り回されず、着実にキャリアを積み上げるための鍵となります。
SES案件ガチャ「ハズレ」現場のリアルな事例

SESにおける最大のリスクは、自分のスキルや希望と合わない「ハズレ案件」に配属されてしまうことです。
代表的な「ハズレ」の例として、テストやデータ入力といった単純作業ばかりを任される現場が挙げられます。エンジニアとしてのスキルを磨くためにIT業界に飛び込んだにも関わらず、日々の業務はエクセルにコピペするだけ、仕様書を整えるだけといったケースも珍しくありません。
SNSでも「設計書とテスト仕様書の作成だけでコードを書く機会がない。キャリアを積めないので転職活動を考えている」といった声が上がっており、思うようにスキルアップできない現実が見えてきます。
また、長年同じ単純作業に従事させられる例も散見されます。たとえば「インフラエンジニアとして18年間監視オペレーターだけ」「10年間エクセルにコピペ作業のみ」といった声もあり、本人の意欲やポテンシャルが活かされないままキャリアが停滞してしまうこともあるようです。
さらに、配属先によっては人間関係がギスギスしていたり、過度な残業を強いられるなど、いわゆる「ブラックな労働環境」に置かれるリスクもあります。
このような「ハズレ案件」に当たってしまうと、技術力が身につかないどころか、キャリア形成に大きなブレーキがかかってしまいます。SESで働く際には、こうした現場の実態を知ったうえで、できる限りリスクを回避するための工夫が必要になります。
SES案件ガチャ「当たり」現場のリアルな事例

SESには「ハズレ案件」がある一方で、エンジニアにとって大きな成長や安定した働き方につながる「当たり案件」も存在します。
その代表例が、最新技術や大規模プロジェクトに携われる現場です。最新の開発環境で新しいフレームワークやクラウド技術を実践的に学べるケースでは、着実に市場価値の高いスキルを磨くことができます。キャリアを積みながらトレンドに沿った技術を吸収できる点は、SESならではの魅力といえます。
また、長期的に同じ現場で腰を据えて働ける環境も「当たり案件」の特徴です。SNSでも「10年ぐらい同じ現場にいる人もいて、やらかさない限り案件が変わることもない」といった声があり、安定してキャリア形成ができる実例が報告されています。長期案件は業務理解が深まりやすく、社内外の信頼関係も築きやすいため、着実にステップアップを目指せる可能性が高いと考えられます。
さらに、リモートワークや柔軟な勤務体制が整っている現場も、エンジニアから高く評価される傾向にあります。SNS上では「直近の客先はフルリモートで自由に休みが取れ、打ち合わせは朝会のみ」といった実例も紹介されており、育休を挟みつつ6年も継続できたそうです。ワークライフバランスを重視しながら働ける環境は、長期的なキャリアの形成につながるでしょう。
このように、SESであっても「当たり案件」に巡り合えば、最新技術を吸収し、長期にわたって安定して働きながら、働きやすさも享受できる可能性があります。重要なのは、配属先の実態を見極め、希望やキャリアに合った案件を選び取ることです。その意識を持つことで、SESでのキャリアを大きくプラスに変えることができるでしょう。
SES案件ガチャで「当たり」を引くためのチェックポイント

これまで解説してきたようにSESで働くエンジニアにとって最大の関心事は「どんな現場に配属されるか」です。案件によって得られる経験やスキルの伸びは大きく異なり、それがキャリアの方向性を左右します。
「SES案件ガチャ」と呼ばれるのは、希望に合った現場に入れるかどうかが運任せになりやすいからですが、実際には事前に確認できるポイントも多く、注意深くチェックすることで“当たり案件”を選び取る確率を高めることができます。
ここでは技術・開発体制から労働環境、キャリア形成に至るまで、「当たり案件」を見極めるチェックポイントを整理しました。
◆技術・開発の成熟度を確認する
まず注目したいのは、開発現場における技術的な文化や仕組みです。
1. 定期的なコードレビュー文化があるか
良い現場ではPull Request(PR)が放置されず、平均リードタイムが1〜2営業日以内に収まります。レビューが迅速に行われる環境は、コード品質が担保されるだけでなく、ナレッジ共有の場としても機能します。
逆に、レビューが形骸化している現場では、スキルが伸びにくくなり、属人化や不具合が起こりやすくなります。
2. 自動化やツールの活用が進んでいるか
CI/CDが機能しており、テストコードが実際に回っているかどうかも重要なポイントです。テストが形骸化している現場では、リリースのたびに人力の確認作業が発生し、エンジニアが単純作業に追われます。
一方で、自動化が進んでいる現場は効率的に開発を進められ、技術的な成長機会も豊富だと考えられます。
3. リリースサイクルが安定しているか
週次や隔週といった定期的なリリースが実施されている現場は、タスク管理や進捗管理が仕組み化されています。
属人化を防ぎ、チームとしてスムーズに開発が進められる環境は、キャリアにプラスとなる経験を積む上で非常に有益といえます。
◆チーム・企業文化の透明性を確認する
エンジニアが安心して働けるかどうかは、所属するチームや企業文化にも大きく左右されます。
1. 定例ミーティングが適切に機能しているか
デイリースクラム、レトロスペクティブ、プランニングなど、アジャイル開発の基本的な定例がきちんと行われている現場は、進捗共有や課題解決が属人的ではなく仕組み化されています。これはチームの健全性を測る指標になると考えられます。
2. メンバーの在籍年数が比較的長いか
短期間でメンバーが入れ替わる現場は、労働環境や案件内容に問題がある可能性が高いといえるでしょう。逆に、数年単位で継続しているメンバーが多い現場は、働きやすさや成長機会が確保されていることを示唆しています。
◆労働環境の安定性を見極める
案件ガチャの“当たり外れ”は、業務内容だけでなく労働環境にも表れます。
1. 平均稼働時間が安定しているか
稼働時間を質問した際に「月160〜180時間程度です」と即答できる現場は、稼働状況がきちんと管理されていると考えられます。逆に「人・案件によります」と曖昧に返される場合は、残業が常態化している可能性があるため注意が必要です。
2. リモートワーク比率の実績が開示されるか
建前ではなく「現場のエンジニアが実際にどう働いているか」を確認できるかがポイントです。例えば「週3リモートが標準」「チーム全体のリモート率は80%」といった具体的な回答が得られるかをチェックしましょう。
◆受け入れ体制の整備状況を確認する
プロジェクト参画初日のスムーズさやオンボーディングの質も重要になります。
1. 環境準備がスムーズか
PCの支給やアカウントの発行など業務環境が初日から整っている現場は、受け入れ体制がしっかりしています。逆に「最初の1週間は環境待ち」という状況では、時間を無駄にし、成長の機会も損なわれてしまいます。
2. 初月に求められるアウトプットが明確か
「2週間でPRを出す」「1本ドキュメントを仕上げる」など、具体的な基準が提示されている現場は、オンボーディングが体系化されています。これにより、早期から成果を出しやすく、安心してキャッチアップできます。
◆キャリア・学習機会が確保されているか
長期的に見て“当たり案件”かどうかを判断する上では、成長機会の有無が大きく影響します。
1. 技術共有やナレッジ蓄積の仕組みがあるか
社内Wiki、TechTalk、勉強会、LT会といった場が整備されている現場では、知識が属人化せず、常に学べる環境があります。こうした仕組みがあるかどうかは、キャリアを伸ばすうえで非常に大きな要素となります。
2. 新技術の検証・PoCに関われるか
保守要員として単純作業に追われるだけでなく、PoCや技術検証に関わるチャンスがある現場では、実績を積み上げやすく、次のキャリアに直結する強みになります。
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「SES案件ガチャ」を味方につけ、キャリアを前進させるために
これまで解説してきたように、SESでは「案件ガチャ」と呼ばれる「配属先によってその後のキャリアが左右されるリスク」があります。しかし、事前の情報収集や要望の明確化、スキルアップの努力を重ねることで、リスクを減らし“当たり案件”にたどり着ける確率は高まります。
特に、コードレビュー文化や自動化の有無、労働環境や受け入れ体制といった現場の特徴を見極める姿勢は、キャリア形成全体においても重要になります。

とはいえ、個人で全ての情報を集め、交渉まで行うのは容易ではありません。だからこそ、エンジニア専門の転職エージェントであるUnitas(ユニタス)の活用が有効になります。未経験から若手のエンジニアにとって、現場のリアルを知ることは難しくても、エージェントと一緒なら“当たりガチャ”への最短ルートを協力して見つけ出すことができます。今の環境に不安を感じている方は、まず無料相談からキャリアの一歩を踏み出してみてください。