エンジニアになる!勉強方法と必須スキル、学習のコツも解説
エンジニアは、次々と生み出される最新の技術に触れながら、私たちの生活に欠かせないさまざまなシステムを作り上げるやりがいのある職業です。しかし、プログラミングやネットワークの知識は難しいイメージがあり、自分には無理だろうと諦めてしまう人も少なくありません。
ここでは、エンジニアを目指してみたいけど「どこから始めたらいいの?」と迷っている方に向けて、初心者がエンジニアになるためのステップを解説します。必須スキルや効率的な学習方法も合わせてご紹介しますので、エンジニアへの第一歩を踏み出す参考にしてください。
なぜエンジニアが注目されているのか
IT技術によって生み出されたコミュニケーションツールやマップ機能、キャッシュレス決済、クラウドサービスなどのサービスは、私たちの生活を大きく変えました。企業では、これまで手作業で行っていたさまざまな業務がIT化され、業務の効率化が進んでいます。
これらのサービスを維持し発展させていくためには、より多くのエンジニアが必要です。IT業界に限らず、さまざまな業界でITエンジニアの採用が進み、IT人材不足が深刻化しています。今後もエンジニアの需要はさらに高まると予測され、未経験者にもエンジニアとしてキャリアをスタートさせるチャンスが増えています。
では、初心者がエンジニアになるためには、どのような知識やスキルが必要になるのでしょうか。
エンジニアとして必要な基本スキル
初心者がエンジニアを目指すには、ITの基礎知識やプログラミングスキル、さらにシステム設計や障害対応に必要な論理的思考力が求められます。
ここでは、具体的にどのような知識を身につければよいかを解説します。
IT全般の基礎知識
エンジニアとしてIT業界で活躍するためには、IT全般の基礎知識が必要になります。たとえば、ECショップの開発を依頼された場合、ショッピングカート機能を作るだけでなく、顧客データを管理するデータベースへのアクセスやサーバ管理の知識があると、仕事の幅が大きく広がります。
以下は、エンジニアを目指す上で学んでおくと良い基礎知識です。複雑で難しいように感じるかもしれませんが、はじめからすべてを完璧に理解する必要はありません。ひとつの技術や概念を学ぶ過程で他の知識も必要となり、徐々に理解が深まります。まずは基礎的な部分から順を追って理解していきましょう。
<コンピュータシステム>
・ハードウェア(CPU、メモリ、ストレージ、入出力装置)
・ソフトウェア(OS、ミドルウェア、アプリケーション)
<サーバ>
・サーバの種類(Webサーバ、メールサーバ、DBサーバ)
・サーバOSの基礎(Windows Server、Linux)
・サーバ管理(起動/停止、ログ確認、バックアップ)
<ネットワーク>
・インターネットの仕組み
・基本的なネットワーク用語(IPアドレス、ドメイン名、URL)
・主要なネットワークサービス(Web、メール、ファイル共有)
・基本的なネットワークセキュリティ(パスワード管理、ウイルス対策)
<データベース>
・データベースの役割
・基本的なSQL文(SELECT、INSERT、UPDATE、DELETE)
・テーブル設計の基礎
・データの整合性とバックアップの重要性
<セキュリティ>
・情報セキュリティの基本(機密性、完全性、可用性)
・パスワード管理の重要性
・マルウェア対策
・基本的な情報セキュリティ対策
<クラウドコンピューティング>
・クラウドサービスの概念
・主要なクラウドプラットフォーム(AWS、Azure、GCPなど)
・クラウドセキュリティ
・クラウドのメリット・デメリット
プログラミングの基礎知識
プログラミング言語は、エンジニアの仕事で最も重要なスキルのひとつです。プログラミング言語には、マイナーなものまで含めると200を超える種類があり、開発分野によって使用する言語が異なります。
以下は、エンジニアが活躍する主な分野と、そこで使われている代表的な言語です。
業種 | 活用されている言語 |
---|---|
Webサイト開発 | Ruby、PHP、JavaScript |
スマホアプリ開発 | Swift、Java、Kotlin、Flutter |
ゲーム/ソフトウェア開発 | C#、C++ |
AI/機械学習開発 | Python、R言語 |
IoTの組み込み系開発 | C言語 |
プログラミング言語は、種類によって学習の難易度が大きく変わります。
スクリプト言語と呼ばれているJavaScriptやPython、PHP、Rubyは、文法が簡単で理解しやすく、比較的習得しやすいと言われています。初めて学ぶプログラミング言語におすすめです。まずは理解しやすい言語でプログラミングの基本概念を理解してから、難易度の高い言語に挑戦すると無理なく進められるでしょう。
また、Web開発では、Webページの構造を定義するマークアップ言語(HTML)と、Webページのデザインを制御するスタイルシート言語(CSS)の知識が必要です。これらはプログラミング言語ではありませんが、Webサイトを制作する上で必須の技術です。静的なWebページであれば、HTMLとCSSのみで作成することも可能です。
論理的思考力
エンジニアには、物事の全体像を把握しつつ、順序立てて整理する思考力が必要です。これを「論理的思考力」といいます。
例えば、開発したアプリが思うように動作しないとき、プログラム全体の中から原因を探し出し、解決の手順を組み立てる必要があります。また、既にあるプログラムに新機能を追加するときは、全体を把握しつつ最も効率的な改修方法を導き出さなければいけません。
日頃から、身の回りの出来事に疑問を持ち、それを解決する練習をしたり、複雑な問題を整理し、単純化する練習をしておくと良いでしょう。
コミュニケーション力
エンジニアの仕事は、1人でひとつのシステムを作り上げる孤独な作業だと思っている人が多いかもしれません。しかし、実際は1人で完結する作業はほとんどありません。
顧客の要望を正確に理解し、希望に沿ったコンテンツを作り上げるためには、話を聞く力やプレゼンテーション能力が不可欠です。また、大きなプロジェクトでは、開発チーム内で常に情報や意見を交換しながら作業を進める必要があります。
特にコミュニケーションが苦手だと感じている人は、できるだけ積極的に人と関わる努力が必要です。日頃から周りの人に関心を持ち、挨拶や会話を心掛けることで、コミュニケーション能力が養われていくでしょう。
目標設定とマイルストーンを作る
エンジニアを目指すと決めたら、「どの分野のエンジニアになるのか」などの具体的な目標設定と、そこにたどり着くまでの段階的な学習計画(マイルストーン)を設定しましょう。
目標の明確化
まずは「なりたいエンジニア像」を具体的に描きましょう。例えば、Webアプリケーションを開発するエンジニアになりたいのか、インフラを支えるエンジニアを目指すのかなど、目指す方向性を決めることで、学ぶべき技術が見えてきます。
もう少し短いスパンで達成できる目標を設定し、確実にクリアしていくという方法もあります。例えば「オリジナルのアプリを作成する」「ひとつの言語をマスターする」など、半年〜1年程度で実現できる目標を設定して達成することで、次の段階を目指すモチベーションに繋がります。
目標達成までの期限を決める
目標を設定したら、それを達成するまでの期限を決めましょう。例えば「1年以内に動的なWebサイトを作る」のように、期限を設定することで計画的に学習を進めることができます。
マイルストーンを設定する
目標と達成するまでの期限が決まったら、設定した目標に向けて必要な知識やスキルを洗い出し、1〜2カ月ごとに達成できる小さな目標を立てます。例えば、1年以内に動的なWebサイトを作ることを目標にするのであれば、
▷ 1~2ヶ月目:HTML、CSS、JavaScriptの基礎を学ぶ
▷ 3ヶ月目:簡単な静的Webページを作成
▷ 4~5月目:サーバの基礎を学ぶ
▷ 6か月目:作成したWebページをサーバへアップロード
▷ 7~8ヶ月目:JavaScriptフレームワークを学ぶ
▷ 9~11カ月:動的機能を実装する
▷ 12カ月:テスト&改善
といったように、具体的な目標を設定することで、目的達成までの道のりと進捗を可視化し、モチベーションを維持することができます。
実践と復習のバランス
頭で理解したプログラミングの知識は、実践することで定着していきます。書籍や動画で学習したら、その知識を使って小さなプログラムを作成してみましょう。作成の過程でわからないことが出てきたら、再度書籍などに戻って復習します。理解が深まったら、身についた知識を応用してより難しい機能を作ります。この学習→実践→復習→応用のサイクルを繰り返すことで、確実に技術力を身につけることができます。初期段階では「復習」と「応用」のバランスが重要です。応用まで進む前に、小規模なプロジェクトを複数回復習して安定させると良いでしょう。
独学で学ぶ?スクールに通う?それぞれの特徴
エンジニアになるためには、時間をかけて多くの事を学習しなければなりません。学習方法は、大きく分けて「独学」と「スクール学習」の2通りあります。挫折することなく目標を達成するには、自分の状況や学習スタイルに合った方法を選択することが重要です。
では、それぞれの学習方法のメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
独学派(書籍・動画)のメリットとデメリット
独学で学ぶには、書籍や動画サイト、オンライン学習サービスなどを活用する方法があります。
独学で選ぶ最大のメリットは、費用を抑えて、自分のペースで学習を進められることです。働きながら、または学校に通いながらでも、空いた時間を活用して両立することができます。無料の体験学習を実施しているオンライン学習サービスもあるので、活用すると良いでしょう。
一方で、何から始めればよいか、どの教材がより学習しやすいか、正しく理解できているかなどの判断が難しく、途中で挫折しないためには強い意志が必要になります。また、分からないことがあっても質問できる相手がいないため、つまずいた際の解決に時間がかかってしまうことがあります。
スクール派のメリットとデメリット
スクールでは、目指す職種に応じた体系的なカリキュラムに沿って、効率的に学習を進めることができます。疑問点はすぐに講師に質問することができるので、エラーを解決できずに挫折してしまう、という心配もありません。さらに、多くのスクールは就職支援も充実しており、未経験からのキャリアチェンジをサポートしてくれます。
ただし、独学と比較して費用が高額になってしまうというデメリットがあります。また、決められた時間に授業を受ける必要があるため、仕事や学業との両立が難しくなる場合があります。
まとめ
エンジニアは、新しいものを創り出し、人々の生活をより豊かにするという、大きなやりがいのある職業です。
エンジニアとして活躍するためには、技術力だけでなく、論理的思考力やコミュニケーション能力も重要です。これらの能力は、日常生活の中で物事を深く考えたり、人との繋がりを大切にすることで養われていきます。
また、ITの基礎知識やプログラミングスキルは、技術の進化に合わせて継続的な学習が必要です。目標を細かく分割し、クリア可能な目標を設定することで、達成感を感じつつ着実にスキルアップしていくことができます。
自分に合った学習方法を選び、自身の成長を確認しながら、エンジニアになるという目標に向かって進んでいきましょう。