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飲食店の欠員対応を店長の個人技にしない。忙しい日の担当を決める

飲食店の欠員対応を店長の個人技にしない。忙しい日の担当を決める

飲食店で急な欠員が出た日は、残った人へ通常どおりの仕事を詰め込む前に、守る業務と、その人数で受けられる注文の範囲を決めます。応援探しと営業の判断を分け、当日の担当者と再確認の時刻まで共有しましょう。

この記事は、従業員50〜300名程度で複数店舗を運営する飲食企業の経営者や店長、兼務人事向けです。採用時のシフト条件や新人の初日準備ではなく、欠員が判明してからその日の営業を組み直す手順に絞ります。以下は編集部による運用案であり、安全・衛生や労務管理の確認に代わるものではありません。

欠員対応は「一人足りない」を時間と仕事に分ける

最初に確かめるのは、不足する人数だけではなく、どの時間帯に、どの仕事を担う人がいないかです。調理担当の欠員と、会計・案内担当の欠員では、残る仕事が異なります。

その日の勤務表、予約、受付済みの注文を見て、欠ける役割を具体化します。たとえば「昼に一人不足」ではなく、「昼の入店案内と会計を引き受ける人が不足」と整理してください。休憩や退勤で配置が変わる時間も合わせて確認します。

欠勤の連絡を受けたら、営業調整は店側で引き取ります。休む本人だけに代わり探しを任せたり、欠勤理由の詳しい個人情報を応援依頼に広げたりしない運用にします。

続いて、当日の判断者を一人決めます。店長が調理に入るなら、応援の返事を受ける人や来店客へ説明する人まで店長に集中させないでください。店長不在時に提供範囲を変えられる人と、本部へ確認する連絡先は、平常時に決めておきます。

減らさない仕事と、いったん止める仕事を分ける

手洗い、食品の管理、必要な洗浄などを省いて提供量を維持する判断はしません。守る作業を実施できる体制を先に確かめ、その範囲に合わせて営業内容を調整します。

厚生労働省のHACCP案内では、衛生管理計画の作成と従業員への周知、実施状況の記録・保存、計画や手順の見直しを示しています。欠員時も、自店の計画を実施する担当を確認することが出発点です。厚生労働省「HACCP(ハサップ)」

そのうえで、業務を次のように分けます。下の分類は一例であり、店の衛生管理計画や予約状況に合わせて判断してください。

  • 維持する:衛生・安全上の確認、受付済み注文の状況確認、必要な会計・顧客対応。
  • 範囲を変える:新規の入店案内、持ち帰り注文の受付、提供するメニューの種類。
  • 後へ回せるか確認する:販促物の差替え、急がない事務作業、当日でなくても支障のない打合せ。

「片付けは全部後で」と一括で決めるのは避けます。衛生管理や通路の安全に必要な片付けと、後へ回せる整理は別です。何を止めるかは、作業名だけでなく、先送りした場合に何が起こるかを見て決めます。

当日の担当は、できる仕事と休憩を踏まえて組み直す

持ち場の変更は、本人がその店の手順を理解し、担当できる範囲で行います。「人がいる」ことと「その作業を任せられる」ことを同じにしないでください。

別店舗の経験者でも、設備や料理、会計の方法が同じとは限りません。必要な説明と安全・衛生の確認を済ませ、任せる仕事、任せない仕事、困ったときの確認先を短く伝えます。説明する人の時間も必要なので、応援一人の到着を、そのまま通常担当一人の復帰と数えないようにします。

次は、欠員が出た日の判断メモの架空例です。業務の全体や必要人数を示す標準表ではありません。実際には担当者の氏名と、その店舗で使える時刻を書き入れます。

確認・共有すること記入例
不足する時間と仕事11時30分〜14時の入店案内・会計担当が不足する。
守る業務の担当厨房責任者が調理・衛生確認の分担を点検する。
持ち場の組替えAさんは案内を担当。休憩中の代わりは副店長とする。
応援への依頼本部担当が、会計を担当できる人の到着時刻と勤務可能時間を確認する。
受注・提供の範囲持ち帰りの新規受付を一時停止。受付済み注文は別に確認する。
次の判断者・時刻副店長が12時に、待ち状況と休憩予定を確認し、受付範囲を見直す。

副店長が代役を兼ねる場合は、その間の判断・連絡を誰へ渡すかも決めます。同時に発生する仕事へ同じ人の名前を重ねて書くだけでは、配置を決めたことになりません。

厚生労働省のシフト制留意事項は、呼ばれれば働く状態での待機や、実際の来客対応を休憩として扱えないことを示しています。休憩者を予備の担当として数えず、必要な休憩を取れる配置にします。厚生労働省「シフト制の適切な雇用管理に関する留意事項」6〜7ページ

応援依頼には、時間だけでなく任せる仕事を書く

「誰か来られませんか」ではなく、何時から何時まで、どの店で、何を頼みたいのかを伝えます。任せられる範囲を事前に確認すると、到着後に調整する仕事も把握できます。

依頼には、店舗、必要な時間帯、具体的な仕事、返答先と返答期限を入れます。受入担当者も決め、「到着したら誰に声をかけるか」を伝えてください。複数店で応援を融通する場合は、送り出す店の営業と休憩も成立するかを確認します。

返答は「依頼中」「本人と条件確認中」「確定」を分けて管理します。返事がない人や、移動時間が読めない人を、間に合う前提で配置しません。応援が確定したら、勤務する場所・時間・担当を本人と確認し、ほかの依頼先にも募集終了や状況変更を伝えます。

同じ留意事項では、一度確定したシフトの労働日・労働時間の変更は、基本的に労働条件の変更に当たり、双方の合意の上で行うとされています。急な欠員を理由に一方的に勤務を追加せず、勤務条件と必要な手続きを確認してください。厚生労働省「シフト制の適切な雇用管理に関する留意事項」4〜5ページ

予定外の延長で対応する場合も、本人への確認だけでなく、法令上の労働時間の制限や自社の取り決めとの整合を労務担当に確認します。短縮営業にする場合の勤務・賃金の扱いも、現場の判断だけで変更しないでください。

応援が決まるまで待たず、受ける注文の範囲を決める

応援の返事を待つ間にも、注文や来店は増えます。今いる担当で安全に提供できるかを確認し、難しい場合は、新規受付や提供範囲を早めに見直します。

判断の軸は、残る担当者の業務、受付済み注文、待っている来店客、休憩と退勤の予定です。「あと少し頑張れば」といった感覚だけではなく、どこに仕事がたまっているかを厨房とホールで共有します。

  • 調理が詰まっているなら、担当者を追加できるかと、提供メニューを絞れるかを確認する。
  • 案内・会計が詰まっているなら、新規入店の案内を調整し、受付担当を確保する。
  • 安全・衛生の確認や必要な休憩が成立しないなら、受付停止や営業の一時中断を判断者へ上げる。

メニューを減らすことと、調理手順を省くことは別です。慌てて材料や工程を置き換えず、承認されている提供方法を維持できる料理を選びます。衛生管理上の問題や事故への対応は、この欠員メモだけで判断せず、店舗の対応手順と責任者の判断に従います。

新たな受付を止めても、すでに受けた注文や予約が消えるわけではありません。対応の見通しを確認し、変更が必要な顧客には個別に説明・相談します。店頭、電話、予約・注文サービスの案内も担当を決めて揃え、未確認の待ち時間を約束しないようにします。

営業後は、誰が休んだかより調整の詰まりを残す

振り返りでは、応援が来たかだけでなく、判断が遅れた場所と、無理が集中した仕事を確認します。次回の欠員対応を、同じ人の頑張りに戻さないためです。

何時にどの仕事が不足し、どこで受付範囲を変えたか。休憩を予定どおり確保できたか。応援へ説明が足りなかったことは何か。この内容を短く残し、翌回に直すことを一つ選びます。

同じ持ち場で繰り返し不足するなら、平常時の研修や採用配置を見直す材料にします。当日の調整で毎回解消する前提にはしません。求人で伝える勤務条件の整理は、「シフトの相談可、どこまで?求人で伝えたい時間と働き方の条件」で扱っています。

まずは店長が不在でも使えるよう、「判断する人」「守る仕事」「提供範囲を見直す条件」を一枚にまとめてください。欠員時に止める仕事まで決めておくと、残った人へすべてを抱え込ませずに相談を始められます。

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参考文献

確認日:2026年10月31日。

  1. 厚生労働省「HACCP(ハサップ)」:衛生管理計画の周知、実施記録、保存、見直し。ページ全体の公表・最終更新日は明記を確認できず。https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/
  2. 厚生労働省「いわゆる『シフト制』により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項」:2022年1月7日作成、2026年6月19日改正。契約時には労働日・時間を固定せず、期間ごとの勤務表等で確定する働き方が対象。確定後のシフト変更は4〜5ページ、休憩の扱いは6〜7ページ。https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001713615.pdf

執筆者・運営者・確認日

執筆:Unitas Pass編集部

Unitas Passは、現場職の会社の採用・定着・人事制度を支援する株式会社Unitasが運営しています。

情報確認・原稿更新日:2026年10月31日。本記事の判断メモと業務分類は一般的な運用提案です。必要な人数、食品の安全性、個別の勤務変更の適法性を判定するものではありません。食品衛生は自店の管理計画と保健所等、労働条件は契約内容・就業規則・最新の公的情報に照らして確認してください。

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