ドライバーの定着面談、何を聞く?単独乗務・便変更後の困りごとを改善につなぐ
ドライバーの定着面談では、最近の便で困った場面を聞き、配車や作業条件のどこを会社が確認するかまで決めます。質問を用意するだけでなく、対応する人と本人への返答日を揃えることが、相談を置き去りにしないための出発点です。
この記事は、従業員50〜300名程度の運送会社で、採用・労務を兼務する経営者や担当者に向けた実務ガイドです。単独乗務が始まった後や担当便が変わった後の面談を扱います。以下の質問、実施時期、シートは編集部の提案であり、定着への効果を保証するものではありません。
この記事の要点
- 入社からの日数だけでなく、便や勤務条件が変わる時点で話す機会を置く。
- 本人の話と運行・勤怠の記録を照合し、会社で変えられる条件を探す。
- 相談の共有先を絞り、返答後も次の運行で困りごとが残ったかを確かめる。
ドライバーの定着面談は、勤務の変わり目に予定する
定着面談は、働き続けるうえでの困りごとや希望を確認する個別の対話です。単独乗務の開始、担当便・出勤時刻の変更など、働き方が変わる場面に合わせて予定を入れます。
入社1か月といった定例日だけでは、変更直後の負担を確認するまで時間が空く場合があります。ベテランでも、日勤から夜間便へ変われば確認が必要です。繁忙期の運行計画を決める前に、休みや勤務時間について相談できる機会を置く方法もあります。
面談枠は配車担当と調整し、勤務の中に確保します。帰庫が遅れた日に予定を押し込まず、別の日時に変更してください。会社が業務として参加を求める面談は、労働時間として扱います。厚生労働省のガイドラインも、使用者の指揮命令下で業務に従事する時間を労働時間としています。厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
休息期間は、業務終了から次の始業まで、会社の拘束を受けない期間です。トラック運転者は原則、継続11時間以上を与えるよう努めることを基本に、9時間を下回らない基準です。長距離運送等の例外には条件があります。面談のために帰宅を遅らせる場合も、翌日の始業まで含め、運行管理者等が確認してください。厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
「辞めたい理由」より、最近の便の具体的な場面を聞く
最初の質問は「最近の便で、予定どおりに進めにくかった場面はありましたか」です。荷待ち、荷扱い、帰庫後の作業、連絡待ちなど、いつ・どこで何が起きたかを聞きます。
国土交通省が2026年7月に公表した調査では、1運行当たりの平均拘束時間は10時間13分、うち荷待ち・荷役等時間は2時間2分でした。対象は実運送を行う一般貨物自動車運送事業者で、2025年4〜8月の通常期の代表的な運行を調べたものです。自社の繁忙期や個人の退職理由を示す数字ではありませんが、運転以外の時間も聞く必要性を考える材料になります。国土交通省「平均拘束時間に関する調査結果」
話す順番は、次の4問を起点にできます。すべてを聞き切るより、本人が気にしている場面を具体化してください。
- 最近、予定どおりに進めにくかった便や作業はありますか。
- 単独乗務や便変更の前に聞いた説明と、違っていたことはありますか。
- 今の働き方で、続けたい点や助かっている支援はありますか。
- 会社に先に確認・対応してほしいことを一つ挙げると何ですか。
「帰りが遅い」なら、運転、荷待ち、荷役、帰庫後のどこが伸びたかを一緒に分けます。「配車に言いづらい」なら、相手の性格を決めつけず、連絡した時刻、伝えた内容、返事の有無を確認します。生活事情の詳しい説明を求めず、会社へ伝えたい勤務上の希望に絞って構いません。
本人の話と記録が違っても、その場で否定しません。日報に載っていない作業や記録漏れがないかも含めて確認します。「本音を見抜く」ことを目的にせず、話せる範囲を尊重しながら、会社が調べる事項を残してください。
相談内容に応じて、確認する人を分ける
聞いた内容は、安全上の対応が必要なもの、社内で調整できるもの、荷主等との協議が必要なものに分けます。面談担当がすべてを引き受けず、確認する権限のある人へつなぎます。

| 相談の内容 | まず確認すること | つなぐ担当 |
|---|---|---|
| 強い眠気や体調不良で運転が不安 | 次の乗務を含む安全上の対応 | 運行管理者等へ直ちに相談する |
| 出勤時刻・休日・便の偏り | 配車予定と実際の勤務の違い | 配車責任者と労務担当が確認する |
| 荷待ち・予定外の荷役 | 発生した場所、時間、作業範囲 | 営業担当等が荷主との条件を確認する |
| 便変更後の給与が分からない | 該当月の勤怠、手当、支給明細 | 給与担当が説明・確認する |
| 指示や相談相手への不安 | 困った場面と本人が望む相談先 | 当事者以外の責任者や窓口へつなぐ |
安全やハラスメントに関わる相談は、定例面談や返答日まで待たせません。点呼、法定の教育、健康管理、正式な相談対応はそれぞれ必要であり、この面談で代用しないでください。
共有前には、対応に必要な相手と内容を本人に説明します。面談メモを丸ごと配車グループへ送るのではなく、「翌日の始業時刻を確認してほしい」など、調整に必要な事項を切り出します。面談相手が相談の当事者なら、別の責任者が受けられるようにします。
給与の内訳や比較条件の揃え方は、「物流2024年問題後の時短と給与を点検。便変更前後の基本給・手当・残業代を比べ、減収不安に答える」で詳しく扱っています。
6行の面談シートに、会社が動くための情報を残す
一つの困りごとを、場面、本人の言葉、照合する記録、対応、担当、返答予定に整理します。下の空欄シートを使い、面談担当が必要な範囲を記入してください。
| 項目 | 記入欄 |
|---|---|
| 困った便・場面 | |
| 本人の言葉 | |
| 照合する記録 | |
| 対応・確認すること | |
| 担当者・確認期限 | |
| 返答日・再確認日 |

※Unitas Pass編集部作成の未記入様式です。法定の記録を置き換えるものではありません。
「本人の言葉」と「会社が確認した事実」は混ぜません。照合元は日報、配車表、勤怠など、社内の既存記録を指定すればよく、同じ内容を別の表へ転記し続ける必要はありません。閲覧者は対応に必要な人へ限定します。健康情報や私生活の詳しい事情は、この共有シートに書き込まず、必要な担当者が別の適切な方法で扱います。
「対応・確認すること」は、たとえば「荷待ちを減らす」だけでなく、「営業担当が該当便の受付条件を荷主に確認する」と書きます。これは記入方法の例であり、実在企業の事例ではありません。改善結果をその場で約束できなくても、何を確かめて返すかは決められます。
返答した後は、次の運行で確かめる
面談の終了は、要望を聞き終えた時点ではありません。会社の回答を本人に返し、変更した条件で困りごとが残っていないかを確かめるところまで予定します。
期限までに荷主との協議が終わらなければ、確認済みの点、まだ決まっていない点、次に返す日を伝えます。希望どおりに変えられない場合も、理由と検討できる別案を説明してください。新しい便や賃金の条件は、必要な確認・手続を経てから示します。
変更後は、同じ便で受付待ちが残ったか、夜間の連絡先へ実際につながったかなど、相談時の場面に戻って確認します。荷量や運行条件が違う日は単純に比較せず、本人の受け止めと記録の両方を残します。
兼務人事なら、まず単独乗務に移った人や便変更のあった人の予定を、配車責任者と照合するところから始められます。面談件数だけでなく、返答待ちの相談と確認期限を見れば、社内で止まっている対応を見つけられます。
よくある質問
「特に困っていない」と言われたら、どうしますか?
不満を無理に引き出す必要はありません。続けたい働き方や役立った支援を聞き、後から相談できる相手と方法を伝えます。発言が少ないことだけを理由に、意欲や退職の可能性を評価しないでください。
独り立ちの判定と同じ面談にしてもよいですか?
目的を分けて説明してください。作業を任せられるかの確認と、勤務条件の相談では、扱う内容が違います。習熟確認は「同乗研修は「何日乗ったか」で終わらせない。新人ドライバーの独り立ち確認シート」を参照し、相談を話しやすい時間も別に確保します。
参考文献
- 厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(2017年1月20日策定)。
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(改正基準は2024年4月1日適用)。
- 国土交通省「トラックドライバーの1運行当たりの平均拘束時間に関する調査結果の公表」(2026年7月10日)。
各資料のリンクは本文中に記載。確認日・更新日:2026年11月5日(日本時間)。個別の労務・運行管理の判断は、最新の公式情報を確認し、必要に応じて労働局・運輸支局や専門家へご相談ください。
著者:Unitas Pass編集部
Unitas Passは、現場職の会社の採用・定着・人事制度を支援する株式会社Unitasが運営しています。
面談で出た困りごとを、採用条件や入社後の支援のどこから見直すか整理したい方は、無料の初回採用課題診断(オンライン60分)をご利用ください。
経営者・人事ご担当者さまへ
採用・定着の課題を、
60分で整理。
応募が集まらない、採っても続かない。現場職の採用の悩みをお聞かせください。
無料の初回採用課題診断・オンライン60分
無料診断を申し込む