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経団連が荷待ち・付帯作業の取決め是正を提言。作業範囲と追加料金を荷主と確認し、現場の丸抱えを防ぐ

経団連が荷待ち・付帯作業の取決め是正を提言。作業範囲と追加料金を荷主と確認し、現場の丸抱えを防ぐ

荷待ちや追加の荷役を減らすには、ドライバーへ「早く終えて」と伝える前に、誰が何を決めるかを荷主側と確認する必要があります。受付の時刻、依頼された作業、契約との違いを残し、現場で判断できないことを配車担当へ戻す手順を作りましょう。

この記事は、荷受け先での待機や付帯作業が便ごとに変わる運送会社向けです。求人票の表現ではなく、着荷主との取決めと、追加依頼があったときの社内対応を整理します。

提言が示したのは「取決めがない」という問題

経団連が2026年10月7日に示した取引適正化・価格転嫁の資料では、着荷主と実運送事業者の間に、付帯作業や荷待ちの取決めがないケースが挙げられています。報道日と提言の日付は区別して読む必要があります。経団連・公正取引委員会掲載資料

これは、提言によって新しい法律上の義務がその日に生まれたという意味ではありません。ただ、「料金の交渉相手」と「現場で作業を求める相手」が同じとは限らない点は、日常の運行を考えるうえで重要です。

厚生労働省の荷主向け情報も、トラック運転者の長時間労働の改善には荷待ちや荷役への対応が必要だと説明しています。運送会社だけで変更できない条件があるため、現場記録を取引先との協議に使える形へ変えることが出発点になります。厚労省・荷主の皆さまへ

荷待ち・荷役等は平均2時間2分。それでも便ごとの確認が必要

国土交通省が2026年7月10日に公表した2025年度調査では、トラックドライバーの1運行当たりの荷待ち・荷役等時間は2時間2分、平均拘束時間は10時間13分でした。対象は実運送を行う一般貨物自動車運送事業者で、2025年4~8月の通常期の代表的な1日の運行について、同年11~12月に調べています。国交省・平均拘束時間調査

これは調査対象の平均で、自社の便に許される待機時間ではありません。荷待ちと荷役・附帯作業を合わせた数字を「荷待ちだけで2時間」と読み替えないことも必要です。自社では受付前の待機、荷卸し、検品などを分け、どの相手との取決めが欠けているかを確かめます。平均より短い便であっても、契約外の作業が曖昧なままなら協議の対象です。

自動倉庫のイメージ(2013年撮影)。本記事の取組の現場ではありません。
自動倉庫のイメージ(2013年撮影)。本記事の取組の現場ではありません。 写真:Tecnowey / Wikimedia Commons / CC BY-SA 3.0。写真出典 / CC BY-SA 3.0。画像は改変していません。

発荷主、着荷主、契約相手を一度書き分ける

最初に確認するのは、誰が荷物を送り、誰が受け取り、誰と運送契約を結んでいるかです。着荷主の受付担当へ話せば料金まで決まる、と考えないようにします。

荷受け担当者は到着順や作業場所を調整できても、運賃や追加作業の料金を承認できない場合があります。反対に、契約窓口は現場の混雑や検品手順を把握していないかもしれません。必要な話を正しい相手へ届けるため、現場調整と契約協議の窓口を分けます。

取引経路が複数の会社にまたがる場合も、ドライバーに全体の交渉を任せるのではなく、自社の配車担当が契約相手へ確認します。連絡先が曖昧なら、まず定期便一つについて、現場の連絡先と自社の判断者を確定してください。

事前の確認表は、現場で答えが必要な項目に絞る

すべての条件を書き込んだ分厚い資料より、到着前に確認できる短い表が使いやすくなります。次の表は編集部の整理例です。取引の実態に合わせて、分からない欄は未確認として残します。

項目 取決め・確認する内容
受付 予約の有無、到着連絡、受付場所
待機 待機場所、開始の見込みを聞く相手
作業範囲 荷卸し、検品、仕分けなどの担当
必要条件 使用機器、資格、安全上の制約
追加依頼 自社で承認する担当と連絡方法
料金協議 契約相手、対象作業、合意の残し方
遅延時 次の便への影響を報告する基準

作業名だけでは解釈が分かれる場合があります。「荷卸しに含む」と書くなら、車上での引渡しまでか、指定場所への移動までかを言葉で確認します。料金が未合意の段階で、ドライバー用の指示書に無条件で実施すると記載しないようにします。

追加作業が来たときの返答を用意する

現場で予定外の依頼があったら、作業内容と必要な時間、安全上の条件を確かめ、自社の判断者へつなぎます。ドライバーがその場で価格や契約変更まで決める運用にしないことが要点です。

例えば、返答は「運行指示にない作業なので、担当へ確認します。作業内容と終了の目安を教えていただけますか」で足ります。相手を非難する言い方ではなく、確認が必要な理由を伝えます。危険な作業や資格・設備の条件を満たさない作業は、料金の話とは別に、安全を確保して責任者へ連絡します。

配車担当は、作業内容、拘束時間への影響、次の運行、契約上の扱いを確認します。「少しなら頼む」で済ませると、次回から通常業務として扱われる可能性があります。実施する場合も、その回の条件と承認者を残します。

次の「定期便の作業・連絡票」は、編集部が作成した未記入のひな形です。配車担当と営業が契約相手・着荷主の窓口を確認する。実際の資料で確かめた内容だけを記入し、分からない欄は未確認として残してください。

実務シート:定期便の作業・連絡票。Unitas Pass編集部作成・未記入ひな形。実在企業の記録ではありません。
実務シート:定期便の作業・連絡票。Unitas Pass編集部作成・未記入ひな形。実在企業の記録ではありません。

待機の長さだけでなく、どこで止まったかを記録する

協議に使う記録には、到着、受付、作業開始、作業終了の時刻を分けて残します。単に「長く待った」とまとめるより、受付の混雑なのか、バースが空かないのか、検品待ちなのかを説明しやすくなります。

記録の目的はドライバーの評価を下げることではありません。本人が動かせない条件を本人の能率の問題として扱わないためにも、停止した理由を短く記載します。推測で相手の責任と決めず、「受付から指示待ち」「検品終了待ち」など確認した事実を使います。

時刻をアプリへ入力できない便は、既存の日報に欄を足す方法でも始められます。同じ情報を複数の帳票へ転記させると負担が増えるため、どの記録を正式な確認元にするかを先に決めましょう。

取引先との協議は、作業と費用を順番に整理する

取引先には、まず事実と困っている条件を示し、次に変更案を相談します。追加料金の話だけから始めるのではなく、予約時刻や作業分担の変更で解消できる部分があるかを切り分けます。

質問例は「予約と実際の作業開始がずれる場合、誰に見込みを確認できますか」「ドライバーが担当する作業範囲を双方の指示書へ同じ表現で載せられますか」「追加作業の依頼はどの窓口に集約できますか」です。合意できたことと、持ち帰ったことを別に記録します。

作業を減らせないなら、その条件を前提に運行時間と費用を協議します。料金の合意は契約関係に沿って行い、現場担当者の口頭了解だけを根拠に請求条件が確定したと扱わないでください。法的な扱いが不明なら、契約書と実態の記録を揃えて専門窓口へ相談します。

夜間や休日の連絡先も試しておく

連絡ルートは、平日の営業時間内だけを想定すると運行時に使えない場合があります。夜間便や休日便がある会社は、その時間帯に誰が判断を受けるのかを確認します。個人の携帯番号を並べるだけでなく、不在時の代わりと、回答が得られない場合の対応を決めてください。

ここでいう対応は、運転者に無期限の待機や独断の作業を求めることではありません。安全な場所で待つ必要があるのか、次の運行への影響を誰が調整するのかなど、運行管理上の判断を会社側で行うための手順です。実際の条件に応じ、運行管理者等と確認します。

始める前に、配車担当と「受付で予定外の仕分けを依頼された」という場面を想定し、連絡を受けた側が何を聞くかを練習すると、不足を見つけやすくなります。これは社内の机上確認であり、実際に起きた事例ではありません。作業場所や依頼者を聞かずに、単に所要時間だけで返答していないかを見ます。

取決めを更新した後は、次の運行で読める場所に置きます。営業のメールだけに残すと、新しいドライバーや応援の担当者へ伝わりません。自社の連絡票と相手先の案内が違うときに、どちらへ確認するかまで記載すれば、古い指示のまま作業することを防ぐ助けになります。

読後に作るもの:荷主と照合する「定期便の作業・連絡票」

配車責任者は、待機や追加依頼が繰り返される定期便を選び、ドライバーの日報から到着・受付・作業開始・終了の記録を取り出します。営業担当は契約相手に、着荷主との確認窓口と料金を協議する窓口を確かめます。

成果物は、受付条件、作業範囲、追加依頼の承認者、時間外の連絡先、料金の合意状況を記した一枚の連絡票です。未合意欄を空欄のまま実施可とせず、問い合わせ担当を置いてください。運行管理者等は安全・拘束時間の条件から、その便を現在の指示で運行できるか判断します。

営業は相手との合意内容を記録し、配車担当が運行指示へ反映したことを照合します。次の運行後に、指示外の作業が残ったかを確認して票を更新します。料金交渉が終わっていない事項は、その状態を運転者にも伝え、現場での独断の引受けや値決めに戻さないようにします。

出典・確認日

出典確認日・更新日:2026年11月1日。制度や受付状況は変更される場合があります。個別の労務・契約・在留手続は、担当窓口や専門家へご確認ください。

著者:Unitas Pass編集部

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