ドライバー採用を紹介会社だけに頼らない。求人経路を増やす前の整理
ドライバー採用の入口を増やすなら、先に「任せる仕事」「必要な免許と勤務条件」「応募に対応する人」をそろえます。紹介会社を一斉にやめるのではなく、各経路に任せる役割を決め、社内で管理できる範囲から併用する進め方です。
この記事は、従業員50〜300名ほどのトラック運送会社で、採用を兼務する担当者や経営者に向けた入門ガイドです。バス・タクシーの採用ではなく、貨物を運ぶドライバーの募集を扱います。採用単価の比較よりも、募集前の準備と運用の分担に焦点を当てます。
ドライバー採用は、募集する便と仕事を先に決める
「ドライバーなら誰でもよい」という募集では、経路を増やしても適合を確認する基準がそろいません。まず募集対象の営業所・便・車両を決め、入社時点で必要な条件と、入社後に教えられることを分けます。
配車・運行管理・採用の担当者で、次の確認表を埋めてください。一人の担当者が推測で全部を決めるのではなく、各項目の確認者を置きます。
| 確認する項目 | 募集前にそろえる内容 | 確認先の例 |
|---|---|---|
| 配属先と便 | 営業所、配送範囲、日帰り・宿泊の有無を決めます。 | 配車担当者に確認します。 |
| 車両 | 車検証で車両総重量・最大積載量等を確認します。 | 車両管理の担当者に確認します。 |
| 免許・資格 | 入社時の必須条件と取得後に任せる業務を分けます。 | 運行管理・安全担当者に確認します。 |
| 運転以外の仕事 | 荷役・検品・待機など担当範囲をそろえます。 | 当該便の担当者にも確認します。 |
| 時間・待遇 | 始終業、休憩、休日、賃金と変動条件をそろえます。 | 労務担当者と確認します。 |
| 受け入れ | 指導担当、研修中の仕事、配属判断を決めます。 | 現場責任者と確認します。 |
| 応募窓口 | 通知先、返答担当、不在時の代理を決めます。 | 採用担当者と決めます。 |
この表は募集準備用で、必要な労働条件をすべて網羅した求人票ではありません。募集時には業務や就業場所の変更範囲、有期契約の場合の更新基準・上限なども確認し、必要事項を明示します。厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」
待機や荷役の具体的な書き方は、「待機・荷役まで伝わる求人へ。運転以外の仕事をどう書くか」で解説しています。本稿では、その内容を紹介会社だけでなく、すべての募集先へ同じ前提で渡すことを重視します。
免許と運行条件は、経路任せにしない
紹介を受けた人でも、自社に応募した人でも、担当車両を運転できるかの確認は省けません。「普通免許あり」「大型経験あり」などの言葉だけで、任せられる仕事を決めないようにします。
長野県警は、車検証で車両総重量と最大積載量を確認するよう案内しています。免許の取得時期によって限定付きの区分となる場合もあります。車両の呼び名だけで求人の免許条件を書かず、実際の車両と免許の種類・限定条件を照合してください。不明点は運転免許センター等へ確認します。長野県警察「確認しよう、運転免許と運転できる車」
勤務条件も同様です。トラック運転者には、拘束時間や休息期間などを定める改善基準告示があります。2024年4月から改正後の基準が適用されています。「長時間働ける人」を探す前に、提示する勤務と実際の運行が現行基準に合うか、運行管理・労務の担当者で確かめます。厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」
有料職業紹介の取扱業務にも注意が必要です。港湾運送業務に就く職業は、一般の有料職業紹介で取り扱えません。物流会社という名称だけで一括判断せず、依頼する実際の業務を伝えて取扱範囲を確認してください。判断が難しい場合は労働局へ相談します。大阪労働局「有料職業紹介事業の概要」

求人経路には、別々の役割を持たせる
紹介会社には条件に合う候補者との仲介、求人媒体には仕事を知る入口、自社ページには詳しい確認先というように、期待する役割を分けます。同じ原稿を広く配るだけでなく、足りない接点を補う組み合わせにします。
厚生労働省は、雇用関係の成立を仲介する「職業紹介」と、求人・求職者の情報を提供する「募集情報等提供」を区別しています。求人広告の掲載を頼んだだけで、候補者との調整や選考まで任せられるとは限りません。厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分」
| 選択肢 | 今回持たせる役割 | 自社が担うこと | 合う状態/合いにくい状態 |
|---|---|---|---|
| 人材紹介 | 免許・経験・勤務条件を共有し、候補者の紹介を受けます。 | 条件の確定と車両・業務への適合確認を担います。 | 必須条件が明確/配属先や便が未定。 |
| 求人媒体 | 勤務地や仕事内容を示し、仕事を知る入口にします。 | 掲載内容の確認と直接応募への対応を担います。 | 対象の仕事を説明できる/通知確認の担当がいない。 |
| ハローワーク | 求人相談や紹介、地域の面接会等との接点にします。 | 仕事の説明資料を用意し、応募・照会に対応します。 | 窓口と条件を整理したい/掲載後のやり取りを担えない。 |
| 自社採用ページ | 便・車両・受け入れの詳しい確認先にします。 | 更新と応募先への案内、問い合わせ対応を担います。 | 更新する人がいる/古い条件のまま置く。 |
| 採用支援(顧問・コンサル) | 原稿や運用の整理を助けてもらいます。 | 現場確認と意思決定の担当者を置きます。 | 作業や判断を整理したい/社内の確認者が不在。 |
表は編集部の役割分担案です。採用支援は応募の入口そのものとは限らず、支援範囲はサービスごとに異なります。紹介を含むか、原稿作成のみか、応募連絡も扱うかを分けて確認します。サービス名だけで、任せられる業務を判断しないでください。
ハローワークの人材確保対策コーナーは、トラック運転手を含む運輸分野も対象です。有資格者等への求人情報提供、求人票の助言、説明会・見学会等の支援があります。地域で利用できる内容や日程を確認し、募集条件表を持って相談すると、依頼したいことを具体化できます。厚生労働省「人材確保対策コーナー」
自社ページは、別の経路で会社を知った人の確認先にもできます。中小機構は、採用ページの閲覧を促し、応募や問い合わせに対応する使い方を示しています。新しいサイトを作る前に、既存ページの条件と応募先が最新かを確認しましょう。中小機構「ホームページ刷新(採用強化)」
兼務担当者は、追加後に増える作業を先に割り振る
新しい経路を一つ追加するときは、掲載準備だけでなく、通知確認、問い合わせ、更新、募集終了までの担当を決めます。毎日の配車や労務と両立できるかは、この作業を実際に置けるかで判断します。複数サイトへ連携掲載する商品なら、原稿の修正元と応募通知の受け口がどこになるかも、追加前に確かめます。
たとえば、採用担当者が応募受付と日程連絡を持ち、配車担当者が便・勤務の質問に答え、運行管理者が車両・免許の確認を担う分け方です。兼務が重なる会社では役職名だけで済ませず、名前と代理担当を決めます。外部サービスの連絡先と掲載原稿の最新版も、担当者以外が探せる場所へまとめます。
面接や見学の受け入れ枠を用意できない時期は、先に現場と日程を相談します。まだ決まっていない研修体制を「未経験者も安心」と書いて入口だけを広げず、誰が何を教えられるかを決めてから募集条件に反映してください。
経路を増やすときも、応募者に同じ情報を何度も聞かないよう、確認済みの仕事条件を社内で引き継ぎます。一方、本人の同意なく個人情報を別の外部事業者へ回す運用にはしません。経路管理用の一覧には、窓口・担当・更新日など業務管理に必要な情報を中心に置きます。
架空の運送会社なら、こう順番を分ける
追加する経路は、今不足している役割と、受け入れ準備の状態で選びます。すべてを同時に始めるのではなく、一つの募集で運用できるか確認してから広げます。
以下は手順を説明する架空の想定です。 従業員80名のトラック運送会社が、日帰りの定期便を担当する人を募集し、採用は総務が兼務しているとします。現在は紹介会社とのやり取りだけで、自社ページには募集終了した便の情報が残っています。
最初に行うのは、新しい媒体への出稿ではなく、募集対象の便・車両・免許条件の確定と、自社ページの修正です。紹介会社にも同じ最新版を渡します。そのうえで、総務が受付、配車担当者が便の説明、現場責任者が見学対応を担えるなら、ハローワークへの相談を追加する選択があります。
反対に、担当便や研修担当が決まっていないなら、先に社内調整を進めます。経験者と未経験者を一つの曖昧な募集にまとめず、入社時に求める条件を分けます。研修後の乗務判断は、同乗研修は「何日乗ったか」で終わらせない。新人ドライバーの独り立ち確認シートも参考になります。
まず、現在の募集先と自社ページを並べ、同じ便・免許・勤務条件を説明しているか照合してください。追加する経路の名前より先に、「何を補いたいか」「誰が続けて対応するか」を決めることが、紹介会社以外の入口を持つ準備になります。
自社のドライバー採用で、募集条件と各経路の役割を整理したい方は、無料の初回採用課題診断(オンライン60分)をご利用ください。

関連記事
- 待機・荷役まで伝わる求人へ。運転以外の仕事をどう書くか:各経路へ共通して渡す仕事内容の具体化に。
- 同乗研修は「何日乗ったか」で終わらせない。新人ドライバーの独り立ち確認シート:募集で案内する受け入れ準備を、乗務判断まで考えるために。
参考文献
確認日はいずれも2026年10月31日。公表日・更新日が明記されていない資料は、確認できた制度の適用日だけを記載しています。
- 厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます!」(2024年4月1日施行):https://www.mhlw.go.jp/content/001114110.pdf
- 長野県警察「確認しよう、運転免許と運転できる車」(2026年4月1日更新):https://www.pref.nagano.lg.jp/police/shinsei/koutsu/kakuninshiyou.html
- 厚生労働省「トラック運転者の改善基準告示」(改正基準は2024年4月1日適用):https://driver-roudou-jikan.mhlw.go.jp/truck/notice
- 大阪労働局「有料職業紹介事業の概要」(更新日記載なし):https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/yuryou_muryou_shokugyou/hourei_seido/gaiyou.html
- 厚生労働省「募集情報等提供と職業紹介の区分」(更新日記載なし):https://www.mhlw.go.jp/stf/shoukaibosyuukubun.html
- 厚生労働省「人材確保対策コーナー」(更新日記載なし):https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188045.html
- 独立行政法人中小企業基盤整備機構「ホームページ刷新(採用強化)」(更新日記載なし):https://digiwith.smrj.go.jp/it-map/solution/recruitingweb.html
執筆:Unitas Pass編集部
Unitas Passは、現場職の会社の採用・定着・人事制度を支援する株式会社Unitasが運営しています。
更新日:2026年10月31日。確認表・役割分担・架空の想定は編集部の実務提案です。採用成果を保証するものではありません。個別の免許条件、職業紹介の取扱範囲、労務上の適用は、最新の公的資料と所管窓口で確認してください。
経営者・人事ご担当者さまへ
採用・定着の課題を、
60分で整理。
応募が集まらない、採っても続かない。現場職の採用の悩みをお聞かせください。
無料の初回採用課題診断・オンライン60分
無料診断を申し込む