国交省がベトナムで建設技術者の就職説明会。職務・指導担当・費用を先に決め、採用後のミスマッチを防ぐ
海外の合同就職説明会へ参加する前に、採用後に任せる仕事、教える担当、仕事で使う日本語を一枚に整理しましょう。会社紹介の資料を増やすより、候補者が入社後の役割を理解できる状態にすることが先です。
この記事は、外国人建設技術者の採用を初めて検討する中堅・中小建設会社向けです。現場作業の人手を広く集める話ではなく、施工管理や設計などの技術業務について、説明会に臨む前の準備を扱います。
ベトナムの説明会は、参加費以外の準備も必要
国土交通省は2026年10月23日、ベトナムで外国人建設技術者向けの合同就職説明会を開催すると発表しました。12月8日にホーチミン市工科大学、12月10日にハノイ土木大学で説明会、12月11日に日越大学で企業紹介を行う予定です。申込期限は11月18日とされています。国交省・開催案内
参加対象は中堅・中小建設企業で、企業規模などの条件があります。参加費は無料ですが、航空券、宿泊、飲食、保険、希望する通訳等は自己負担です。「無料の説明会だから、採用の費用もかからない」と考えず、渡航と選考後の対応を含めて判断します。
また、会場や対象学生によって卒業時期が異なります。すぐに入社できる人だけを対象にした場ではありません。自社が必要とする入社時期と、学生の学年・卒業予定が合うかも、募集要領で確認してください。
建設業の「技術・人文知識・国際業務」は13,212人
国土交通省の2026年3月版ハンドブックでは、建設業で在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持つ外国人材は、2015年の1,958人から2023年の13,212人へ増えたと紹介しています。これは同資料が掲載する過去の人数で、2026年現在の人数ではありません。国交省・採用・定着ハンドブック2ページ
この数字は、建設業の外国人労働者全員でも、今回の説明会で採用できる人数でもありません。施工管理や設計などの技術業務を担う人材について考える背景です。人数の増加だけで自社も採れると判断せず、どの技術業務を任せ、その業務を教えられる人が社内にいるかを参加判断に使います。現場作業の人手不足を、そのまま技術者の募集要件に置き換えないでください。
外国人材採用で「技術者」と「技能者」を混ぜない
採用する人の役割は、国籍ではなく実際に任せる業務から決めます。外国人建設技術者の採用を、技能実習や特定技能など別の制度による人材受入れと同じものとして説明しないことが重要です。
国交省の2026年3月のハンドブックは、建設技術者の採用・受入れ・育成を段階に分け、在留資格と業務の関係も説明しています。施工管理、設計、測量など、候補者の学びと自社の仕事内容を照らして検討するための資料です。国交省・外国人建設技術者の採用・定着ハンドブック
「忙しいので現場全般をお願いしたい」では、本人にも採用担当にも役割が伝わりません。業務内容と在留資格の適合に不明点がある場合は、募集前に専門窓口へ確認します。説明会に参加できることと、個別の雇用や在留手続が認められることは別です。
任せる仕事を、初期とその後に分ける
一枚の職務説明には、入社直後に担当する仕事と、習熟後に任せたい仕事を分けて書きます。将来の期待だけを示すと、入社後に何から始めるかが分からなくなるためです。
例えば施工管理の補助を想定する場合も、写真整理、図面の確認、工程情報の更新、打合せへの参加など、実際の業務へ分けます。これは記入の考え方であり、すべての会社や候補者に同じ業務を勧めるものではありません。仕事の範囲は自社の現場と採用する職務に合わせて決めます。
| 説明する項目 | 記載・確認する内容 |
|---|---|
| 配属 | 勤務地、所属、現場移動の有無 |
| 初期の仕事 | 入社後にまず担当する具体的な作業 |
| 将来の役割 | 習熟後の担当と、任せる判断の基準 |
| 指導担当 | 誰に質問し、誰が仕事を確認するか |
| 使用言語 | 会話、書類、安全確認で必要な日本語 |
| 生活面 | 住居や手続の支援範囲と本人負担 |
| 選考後 | 連絡方法、必要書類、次の予定 |
「指導担当は未定」「勤務地は配属時に決定」という欄が多いなら、説明会の前に社内で決めることが残っています。決まっていない条件を、候補者に安心してもらうために確定したように話さないでください。
日本語力は、仕事の場面に分けて確認する
必要な日本語を「会話ができること」だけで表すと、選考の基準が曖昧になります。どの場面で、何を理解し、誰へ伝える必要があるのかを具体化します。
安全上の指示を聞く、図面の注記を読む、進捗を報告する、分からないことを質問する、といった場面はそれぞれ異なります。面談では「分からない指示を受けたらどう確認しますか」「説明した作業を、どのように理解したか教えてください」など、仕事に即した質問を用意します。
言葉の確認を、本人の意欲や性格の評価へ安易に置き換えないことも必要です。図や短い文章で説明すると理解できるのか、専門用語の学習が必要なのかを分ければ、入社前後の支援内容を検討できます。安全確認に必要な理解を、翻訳アプリだけで満たせると決めつけないでください。
次の「外国人建設技術者の職務説明書」は、編集部が作成した未記入のひな形です。経営者・現場責任者が決定し、人事が条件をまとめる。実際の資料で確かめた内容だけを記入し、分からない欄は未確認として残してください。
教える担当の負担を、採用前に見積もる
採用人数の希望だけでなく、仕事を確認する人と時間を確保できるかで、受入れの規模を判断します。現場責任者が多忙な会社では、入社後に「誰かが教える」では対応が途切れやすくなります。
技術上の質問に答える担当と、住居や行政手続の相談を受ける担当を分ける方法もあります。同じ人が兼務する場合も、何を誰へ引き継ぐかを決めておけば、すべての相談が現場監督へ集中するのを防ぎやすくなります。
確認する質問は「指導担当が別現場にいる日は誰が確認するか」「本人が困ったときに、直属の上司以外へ相談できるか」「研修に使う資料は用意できるか」です。支援できないことがあれば、外部サービスの利用や採用時期の調整を含めて検討します。
説明会への参加と、採用の実行を分けて判断する
職務と受入れ担当が明確で、対象学生の卒業時期が採用計画に合う会社は、具体的な選考へつながる説明を準備します。まだ役割が固まっていない会社は、まず募集要領とハンドブックを読み、自社の不足を整理する段階です。
参加を決める場合は、担当者の渡航だけでなく、帰国後の面談、書類確認、社内判断の予定まで確保します。説明会で関心を持ってもらっても、連絡する担当や期限が決まらなければ、選考を継続できません。
候補者には、約束できる次の連絡時期を伝えます。採否が決まっていないこと、追加で確認することは明確にします。採用見込みを示す説明と、正式な労働条件の提示を混同しない運用にしてください。
会社説明では、候補者からの質問も記録する
説明会では一方的に会社の魅力を話すだけでなく、候補者が何を確認したいかを記録します。質問が多かった項目は、説明資料が不足している可能性があります。会社の都合で答えを変えるのではなく、説明できる条件を揃える材料として使います。
例えば、住居の場所や費用、現場への移動、研修期間、資格取得の支援について尋ねられたら、決定している内容と未決定の内容を分けて回答します。日本で働く希望を聞く際も、国籍から価値観や定着意向を推測せず、一人ずつ確認してください。
複数の担当者が説明する場合は、共通の職務説明を使い、持ち帰った質問を一か所へ集めます。通訳を利用する場合も、技術用語や雇用条件の説明を事前に共有しておくと、担当者ごとの意味のずれを確認しやすくなります。通訳がいることを、説明内容の確認が不要になる理由にはしません。
説明会後は、候補者への連絡と並行して、自社が回答できなかった項目を見直します。質問が採用条件に関わるなら経営者へ、業務内容に関わるなら現場責任者へ戻します。会社の認知を広げる活動と、実際に雇用できる条件を確定する活動を分けることが、次の選考へ進む判断に役立ちます。
読後に決めること:説明会への参加可否と「職務説明書」
経営者と現場責任者は、募集する技術業務、入社時期、配属先、指導担当を決めます。人事・総務担当は、その内容を一枚の職務説明書にまとめ、必要な日本語、住居等の支援範囲、未決定事項を記載してください。在留資格との適合に疑問があれば、募集前の相談事項にします。
並行して、担当者の渡航・宿泊・通訳、帰国後の選考、受入れ準備に必要な費用と担当時間を整理します。成果物は職務説明書と参加判断メモです。経営者は、募集要領の対象条件と自社の体制を照合し、参加するか、準備不足のため今回は見送るかを決めます。
参加する場合は、候補者からの質問を持ち帰る担当と、選考の連絡担当も指定します。参加費が無料であることだけを決裁理由にせず、「紹介できる仕事がある」「教える人が決まっている」「選考後に連絡できる」の裏付けを残すことが、説明会を採用活動につなげる準備です。
出典・確認日
- 国土交通省「ベトナムにおける外国人建設技術者向け合同就職説明会」
- 国土交通省「外国人建設技術者の採用・定着に向けたハンドブック 2026年3月第2版」
出典確認日・更新日:2026年11月1日。制度や受付状況は変更される場合があります。個別の労務・契約・在留手続は、担当窓口や専門家へご確認ください。
著者:Unitas Pass編集部
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