「大丈夫です」で終わらせない。製造業の入社1か月面談シート
「少し慣れた?」「大丈夫です」。作業の合間の声かけだけでは、分からないことがあります。聞いていた働き方との違いはないか。分からないときに誰へ聞けているか。採用を社長や総務が兼務する工場でも、この二つは本人と話す時間を取って確認したいところです。
厚生労働省の事例集には、中途採用者へ入社約1か月後に人事面談を行う製造業の事例が載っています。ただし、時期や時間に全社共通の正解があるわけではありません。本稿では最初の運用例として「入社1か月ごろ・15分」を提案します。質問やメモも編集部による案です。
面談の準備
面談役には、現場の仕事を把握し、必要な確認を社内へ依頼できる人が向いています。直属の上司に話しにくい場合に備え、可能なら採用担当や別の責任者とも話せるようにしておきましょう。
現場責任者への依頼は具体的に。「来週、入社1か月の方と15分話したいので、勤務時間内で作業を離れられる時間を相談させてください」。周囲に会話が聞こえにくい場所を確保し、本人にも開始時刻を伝えます。
冒頭の説明例:「仕事で困っていることや、入社前の説明との違いがないかを聞かせてください。すぐ答えられないことは、確認して返事をします。対応のために誰かへ伝える場合は、共有する相手と内容を確認します」
入社1か月の面談メモ
1. 入社前の説明と、実際に違ったことはありますか。
2. この一週間で、仕事を進めにくかった場面はありましたか。
3. 分からないとき、誰に聞いていますか。その人がいないときはどうしていますか。
4. 会社に確認してほしいこと、変えてほしいことを一つ挙げると何ですか。
最後に一緒に決める欄
長いアンケートを先に書いてもらわなくても構いません。担当者が本人の言葉で短く記録します。公的な新卒向け就職後アンケートでも、労働条件の説明と実態の違い、仕事を続けるうえでの困りごとを尋ねています。上の質問は、その観点も参考にしています。

「大丈夫です」の後の聞き方
困りごとがないという返答から、無理に不満を引き出す必要はありません。「昨日、誰かに確認した作業はありましたか」と最近の具体的な場面に範囲を狭めてみます。
例えば「忙しそうで聞けない」と言われたら、「遠慮しないで」で終わらせず、いつ、何を確認したかったのかを聞いてください。相談相手が工程を離れられないなら、不在時の連絡先や確認するタイミングを現場責任者と相談します。
「思ったより残業が多い」なら、本人の受け止めを記録したうえで、入社前の説明と実際の勤務記録を確認します。「うちでは普通」と押し切ったり、その場で「来月から減らせる」と約束したりしないようにしましょう。
返事までを面談の予定に入れる
記録を「現場と相談」で終わらせず、誰が何を確認し、いつ本人へ返すかまで決めます。例えば「採用担当が工場長に交替時の引き継ぎ方法を確認し、金曜までに本人へ返答する」。期限は自社で守れる日に置き換えてください。
配置や勤務体制をすぐには変えられないこともあります。期限までに結論が出なければ、確認中の内容と次の返答予定を伝えます。要望を採用しない場合も、理由と、ほかに対応できることがないかを本人へ説明しましょう。

写真:Baistone / CC BY-SA 3.0。トリミングせず縮小して掲載。
次回に確かめること
次回は新しい質問を増やす前に、前回のメモを開きます。相談先を決めたなら実際に聞けたか、引き継ぎ方法を変えたなら分かりにくさが残っていないかを確かめてください。
最初から全社員へ一斉に導入する必要はありません。まず最近入社した一人と話す時間を決め、返答日まで予定表に残す。初回は面談の実施人数だけでなく、約束した日に返事をできたかも振り返りましょう。これだけで離職率への効果が分かるわけではありませんが、聞いたままになっている相談は確認できます。
安全上の危険やハラスメントなどの相談は、定例面談まで待たず、社内の責任者・相談窓口へつなぐ必要があります。面談記録は対応に必要な範囲に絞り、全員が見られる共有表には載せないでください。
出典・参考資料
確認日:2026年10月26日
厚生労働省『人材の確保・定着に成功した企業の取組事例集~採用活動のコツ~』令和7年3月、12ページ。中途採用者への入社約1か月後の人事面談事例を参照。
厚生労働省の事例集(PDF)
厚生労働省ドメイン掲載『【新卒】就職後アンケート〈定着支援〉』。質問の観点を参照。中途採用者への効果を示す資料ではありません。
就職後アンケート〈定着支援〉
写真出典:Wikimedia Commons / Baistone CC BY-SA 3.0
掲載画像:Unitas Pass既存公開画像。写真のライセンスは写真部分に適用されます。
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